06-一緒にいたいだけ ページ6
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図らずとも煩くなっていく鼓動。
……ダメ。私まで雰囲気に呑まれてはいけない。
落ち着け、と頭の中で何度も呟く。
「……あ、もしかして荷物持ちですか？わかりました！雑務ならこの私がお引き受け致します！」
ヘラッと馬鹿みたいに笑って敬礼ポーズをとる。船長が作るなんとも言えないこの甘いムードを、私はぶち壊していかないといけない。
その為ならこうやって敢えて気づかないフリをする。
こうすれば、そのうち船長が飽きてくれるかもしれないから。
……なのに。
「…………
こっちを見ないまま、彼は言う。
「荷物持ちじゃねェ。Aと……」
「わ、私と……？」
聞こえない声が聞こえた気がした。
自惚れだろうか。
こっちを真っ直ぐに射抜いた熱い瞳が語っていた。
“お前と一緒にいたいだけ”と。
ああ、どうして。
私がせっかく知らんぷりをしているのに。
貴方はどうして訴えてくるの。
「……いや、そうだな、Aには荷物持ちをやってもらう」
もうすっかりぬるくなった珈琲を飲み干し、ガタッと席を立つ。
そうして去り際に挑発気味な笑みを浮かべて一言。
「逃げんなよ」
「……に、げませんよ！私に任せてください！」
「本なら百冊でも持っちゃいますよ！」とガッツポーズをしてみれせば、船長は「頼もしいな」と相変わらずの余裕な笑顔を覗かせた。
船長が食堂を出て行き、残ったのは私と空のコーヒーカップ。
「……いつまで耐えられるかな、」
机に突っ伏して誰に聞かせるでもない弱音を吐く。
知ってるのに知らないふりをするのが一番きつい。
でも彼の気持ちを素直に受け取ってはいけない。
だって、彼が本当に見ているのは私じゃないから。
少し体を起こし、胸元で輝くペンダントを軽く握った。
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涼野紫乃(プロフ) - 完結おめでとうございます！作者様のローオチの作品は他にも読ませていただいてますが毎回話の構成、終わり方が最高で泣かされてしまいます。新作も絶対読みます！これからも頑張ってくださいm(_ _)m (2020年8月16日 8時) (
レス) id: 5f142ceaa5 (このIDを非表示/違反報告)
てい。(プロフ) - 完結ご苦労さまです！更新まだかなと楽しみに思えるほどこの小説が好きでした！1番が気になっています、気になりすぎて早く読みたいくらいですが…これからも頑張ってください！応援してます (2019年9月24日 18時) (レス) id: 6af5281e1b (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 皆様ご協力頂きありがとうございました…！一人一人にきちんとお返事したいところですが、有り難いことに多くの方にご意見をもらえて…泣 でもコメントや感想はすべて読ませていただきました！本当に温かいお言葉をもらえて嬉しいです！今後もよろしくお願いします…！ (2019年9月24日 17時) (レス) id: fbe06363c9 (このIDを非表示/違反報告)
ぴろぴろ(プロフ) - 完結お疲れ様です★遅くなりましたが、3番が読んでみたいです(*´∀｀) (2019年9月24日 11時) (レス) id: 5ce8d72b22 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - 2.3どちらも捨てがたいです(ﾟ´ω｀ﾟ)！完結お疲れ様でした！ (2019年9月24日 1時) (レス) id: e1ea64eec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぅち
| 作成日時：2019年9月8日 18時
