25-出会い(5) ページ25
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「お前、おれの船に乗れ」
この勧誘から2秒後。
「いえ無理です」
真顔で断り、さっきの疲労も忘れてダッシュで逃亡した。風呂敷に包んだお金を落とさないように。
彼は追いかけてはこなかった。
それだけが救いだ。あんな体力の化け物に追いかけられたら逃げられるはずがない。
家に着き、膝に手を置いて乱れた息を整える。
……なんで彼はあんなに必死な目をしていたのだろう。
私の能力は奇襲とか侵入に役立ちはするけど、あまり攻撃には向いていない。
縋り付くような彼の態度が妙に頭から離れないでいた。
海賊だからログが溜まればさっさと出航してくれるだろうと軽く考えていたら。それからというもの、迷惑なことに例の彼からの勧誘が続いた。
船長さんは毎日毎日私の働く店に来て。
「A、おれと一緒に来ねェか」
「結構です」
どこから聞いたのか(おそらく店主だろうが)カウンターで私の名を呼び、長い長〜い足を組んだ図々しい姿勢で、さらには酒の入ったグラスを片手に言う。
顔も見ずに皿を拭きながら答える私に、彼はくくっと喉を鳴らして笑う。
まるで諦める気は無いとでも言う風に。
生憎だが、海賊になる気は毛頭無い。
「珍しいっすね〜船長が女を船に誘うなんて」
船長の隣にいるいつものキャスケット帽の____シャチさんという人物が話に入り込んでくる。毎日来るせいでこっちも名前を覚えてしまった。
「こういうのが好みなんですか？」
何を、言ってんだこいつ……。
話の展開が思わぬ展開に転び、お皿を拭く手を止めずにシャチさんを睨みつける。ほぼ常連客と化したこいつらに営業スマイルはもういらん。
シャチさんは私の敵意に気づかずニコニコ笑う。
船長さんは酒をグビッと一気に飲み干し、空になったグラスを音を立ててテーブルに置く。
そして妖しく口角を上げて。
「あァ。良い女だろ？」
…
からかってるだけ。
一向に首を縦に振らない私を、困らせてるだけだとわかってるのに。
無意識に熱くなっていく顔。
シャチさんのヒューという指笛が店内に響く。
言われ慣れない台詞に単純にも動揺してしまい、震えていた手がお皿を落としてしまう。
「す、すみませんッ」
「船長はドジっ子属性がお好きなんですね」
割れたお皿の処理をしてる間、シャチさんの質問にも答えず、船長さんはただ頬杖ついて口元に笑みを浮かべ、私のことを見ていた。
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涼野紫乃(プロフ) - 完結おめでとうございます！作者様のローオチの作品は他にも読ませていただいてますが毎回話の構成、終わり方が最高で泣かされてしまいます。新作も絶対読みます！これからも頑張ってくださいm(_ _)m (2020年8月16日 8時) (
レス) id: 5f142ceaa5 (このIDを非表示/違反報告)
てい。(プロフ) - 完結ご苦労さまです！更新まだかなと楽しみに思えるほどこの小説が好きでした！1番が気になっています、気になりすぎて早く読みたいくらいですが…これからも頑張ってください！応援してます (2019年9月24日 18時) (レス) id: 6af5281e1b (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 皆様ご協力頂きありがとうございました…！一人一人にきちんとお返事したいところですが、有り難いことに多くの方にご意見をもらえて…泣 でもコメントや感想はすべて読ませていただきました！本当に温かいお言葉をもらえて嬉しいです！今後もよろしくお願いします…！ (2019年9月24日 17時) (レス) id: fbe06363c9 (このIDを非表示/違反報告)
ぴろぴろ(プロフ) - 完結お疲れ様です★遅くなりましたが、3番が読んでみたいです(*´∀｀) (2019年9月24日 11時) (レス) id: 5ce8d72b22 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - 2.3どちらも捨てがたいです(ﾟ´ω｀ﾟ)！完結お疲れ様でした！ (2019年9月24日 1時) (レス) id: e1ea64eec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぅち
| 作成日時：2019年9月8日 18時
