6つのあるばむ そのさん

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言葉を発することもできなくて

遠くで扉を荒く閉める音が聞こえた

准くんはきっと部屋に戻った






嫌だな、涙が溢れてきて

みんなに迷惑かけちゃうことも分かってるのに

止まらなくて

うーと嗚咽がもれる

子供みたいで甘えっぱなしの自分がいやだ


でも…、今はまだ大人になれそうもない









三「…A、今日はゆっくり休んで？」


井「大丈夫。少しタイミングが悪かったんだよ」


坂「気にすんなよAは悪くない」









返事もできなくて

口に出したら声をあげて泣いてしまいそうだから




傍まできてくれて

健くんが少しかがんで涙を拭ってくれる


顔を見たらきっとさらに甘えてしまう

苦しいです、助けて、と

そしたら准くんが悪者になってしまう

一瞬でも准くんを悪者にするなんて、

それだけは絶対にしちゃいけない







健くんとよしくんが背中を優しく押してくれて

なんとか部屋に戻る


"おやすみ"とどこか申し訳なさそうに声がした

ドアが閉まった途端に嗚咽が止まらない

息ができないくらいに苦しくて、

その場に座り込む







気にしちゃいけない

早く忘れないと、今まで築いてきた関係は壊れてしまう

そう思うのに

何度も何度もあの場面が脳内で再生されて

准くんの顔も声もコーヒーの香りも

何ひとつ忘れることなんてできなくて



耳を塞いでも目を閉じても

あの声と表情は消えてくれないみたい









思い出す度に胸が押しつぶされそうなくらいに


痛くて痛くてたまらないんだ









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