02 ページ10
｢あの……ここは?｣
｢俺の部屋だよ｣
ツナに連れられて部屋までやってきたAは、衝撃を隠せなかった｡
だってものすごく広い!しかも綺麗!
Aは好奇心を抑えきれず、ベッドまで駆け寄った｡おそるおそるベッドに触れてみた｡
｢お兄さん!これすごいフカフカ!｣
目を輝かせながら布団の柔らかさを訴えるAを見て、ツナは思わず小さく笑ってしまった｡
あまりにも微笑ましくて｡Aもやっぱりまだ子供っぽいところがあるんだなあ、なんて｡
｢お兄さん、毎日このお布団で寝てるの?｣
｢毎日ってわけじゃないかな｡仕事が終わらない日はソファーで仮眠とったりする｣
仮眠という言葉がAにはよく分からなかったが、聞くことはしなかった｡
｢A、お兄さんのお名前知らない｡教えて?｣
｢あれ、言わなかったっけ?俺は沢田綱吉｡よろしくね……え?｣
ツナが自己紹介をした途端、彼の視界からAが消えた｡Aがひざまずいたのだ｡
｢……何してるの?｣
｢けーいを表してる｣
｢意味分かってる?｣
｢分かんない｣
ズッコケそうになりながらもツナはAに訳を聞く｡
｢パパが沢田綱吉は偉い人だから、会ったらこうしろって｣
嫌な予感がした｡
｢お兄さんはぼんごれふぁみりーのボスなんでしょ｡でーちもなんだよね?｣
｢……Aのお父さんの仕事って何かな｣
ツナはAの質問には答えず、質問を返した｡
ツナがボンゴレデーチモであることを知る人間は限られている｡それが分かるということはつまり｡
｢まふぃあだって｡何してるかは知らないけど、血だらけで帰ってきたことあるよ｣
やっぱりそうか｡
ツナはこぼしかけたため息をぐっと飲みこんだ｡
でーちも?とAがひざまずいたままツナを見上げている｡
せっかくこの子は闇の世界から抜け出せたのに｡
俺が連れ戻してしまった｡
なら路地裏にまた返すのか?捨て猫を拾って怒られた子供みたいに?
そんなことできるわけない｡
連れ戻してしまったからこそ、ちゃんとAを育てる義務がある｡
ツナはそう考えて、ふっと目を閉じた｡
｢A、俺のことはデーチモって呼ばなくていいよ｣
｢でも｣
Aは思わず言葉を失った｡
開かれたツナの瞳が悲しそうに揺れていたからだ｡
｢俺が、呼んでほしくないんだ｣
｢……分かった｣
Aは幼いながらに何かを感じとった｡
だからこそそれ以上踏みこまなかったし、自分の体勢も直した｡
｢ありがとう、A｣
頭を撫でてくれるツナの温かい手に、Aは目を細めてすり寄った｡
アリス、嵐の守護者と過ごす 01→←アリス、ボンゴレの世話になる 01
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 39人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：futureblue�鏡� | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2019年5月27日 19時
