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｢いいか｡これはつ、だ｣
｢つ……ツナさんのつ?｣
｢そうだ｡書き方はこう｣
そう言って眼鏡をかけた獄寺がAに書き方を見せてやる｡
それを見てAはドリルにいくつか"つ"を連ねていった｡
獄寺のことだからスパルタ式で分かりにくいのでは、と思う者もかつてならばいただろう｡
だがあれから獄寺も成長した｡分かりにくさについては克服した｡スパルタ式については……ノーコメントで｡
｢獄寺さん｣
Aが"て"を書きながら獄寺に声をかける｡
｢なんだ?｣
獄寺もAの鉛筆の動きを目で追いながら答える｡
｢このドリル、今日で全部終わらせるの?｣
何冊か積み上げられたドリルには目もくれずAは尋ねた｡
このドリルたちはツナが用意してくれたものだ｡薄くてイラストが多いものばかりである｡Aが勉強していて苦にならないものを、と思って選んだのだ｡
ツナは獄寺にこの中のどれか1つ選んでAにひらがなを教えてほしいと頼んだ｡
しかし獄寺はここにあるドリルすべてを1週間で終わらせようとしているし、Aもやる気満々｡ツナがこれを見たら、そうじゃないと頭を抱えそうである｡
｢いや、今日はな行までで終わりにする｣
｢でも1週間で全部のドリル終わらせるんでしょ?今日中に1冊やりきった方がいいんじゃないの?｣
｢一気にやっても覚えられねえんだよ｡何も俺の部屋でやらなくたっていいんだぞ｡10代目の仕事部屋でやったって、10代目は怒らないだろうし｣
｢やだ!｣
Aは書く手を止めて獄寺を見た｡しかしすぐに自分が言ったことに気づき、ごめんなさい……と謝った｡
獄寺は内心驚いていた｡Aが拒否反応を見せるなんて、今までなら考えられなかった｡少しは馴染んできているのだろうか｡
これで謝罪がなくなったら、それなりに年相応になるのだがまだそれは難しそうだ｡
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作者名：futureblue�鏡� | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2019年5月27日 19時
