【ジョジョの奇妙な冒険】アク役◇短編集

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「なぁ！あのグラス捨ててねぇな！？俺に寄こせ！毎日使って、一生、大切にしてやる！！」


俺にしては、頑張った方。

だが何なんだ。「大切にして“やる”」って。ここはまず謝ってそれで頼んで…あぁクソッ！

走って火照った顔がますます熱くなる。


「その…お前に貰った物だから……！」


いや待て、まだ貰ってねぇ！！


「お前に貰うから、大事にしてぇんだ…！！」


もう、頭から湯気が出そうだ。

そういえば…こんな風にAに対してちゃんとものを言うことなんて、今までなかった。

それでもこの女はちゃんと俺についてきて、笑って……。胸まで、熱くなってきた。


「…捨ててないよ」


しばしして、アイツがそう言った。


「貰ってくれるんだよね？」

「お、おう…！！」

「ありがとう。嬉しい」


晴れた目を更に細くして、ほほ笑んだ。

その穏やかな表情に俺の緊張も解けてくる。


「…その、悪かったな」


何とか、謝罪の言葉を口に出すことができた。


「大丈夫だよ。ギアッチョも急でビックリしたでしょ？今度は一緒に買いに行こうね」


そう言って、Aは屈託の無い笑みを浮かべる。

ああ、本当に…こんな俺には勿体ないほどのいい女だ。


その後、二つのグラスのうち一つが俺の手に渡った。

今度こそ「ありがとう」と受け取った。

だが…結局使えなかった。勿体なかったから。

Aはそれを知ると嬉しそうに笑っていた。


その笑顔を見て、俺はコイツを一生大切にしようと心に誓った。

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