より豊かな表情、より豊かな人生 歩さんリク ブラックモア ページ42
「スイませェん……なんだか、良いにおいがしますね」
「あら、ブラックモア！ちょうど良いところに来たわね」
ティータイムのお菓子が焼けた頃、良いタイミングでブラックモアがキッチンへ来た。
「おやつのナッツケーキが焼けたところよ。先に味見してみて」
「あぁ…ありがとうございます、是非」
型から外したケーキを皿に移し、スプーンを取り出して彼に差し出した。
ところが、彼は受け取らずむしろ不思議そうに首を傾げた。
「どうしたの？ナッツケーキは苦手だった？」
「いえ好きですよ。ただ…私はてっきりあなたが食べさせてくれるものだと」
「あら、まあ……」
驚いた。
どちらかと言えば、ブラックモアはこの手のイチャつき方は嫌いだと思っていた。
私自身、特にそういうことがしたいと思うほど若くはない。
でも…悪い気はしない。
ケーキを一口すくって、彼の口元へ近づける。
「いいわよ。はい、ちょっと熱いから気を付けて」
「……んぁ」
緩く結ばれていた唇を開けて、ブラックモアは素直に受け入れた。
よく噛んで、飲み込む。
当たり前だが、物を食べる時に喋るのはあまり好ましくないのでその口は結んだまま。
その少しの沈黙が私に緊張を誘う。
「どうかしら？」
「とても美味しいですよ。ええ、それこそ冷める前に、早くティータイムにしましょう」
「良かった！すぐ準備するわ！」
「手伝います」
形の良い眉が優しく下がって、彼はほほ笑んだ。
いつもの、胡乱で無気力な眉の下げ方とは違う、とても穏やかな表情。
どちらかと言えば寡黙で、何事にも大きなリアクションはとらないタイプの人だ。
それが、私の作ったお菓子でこんなにも喜んでくれる。
「…私、お菓子作りが趣味になりそうよ」
「それは良いのですが……あまりたくさんだと太ってしまいますので…体型維持も大変です」
「ん？ということは、太るまで食べてくれるの？」
「まぁ………あなたの作った物なら、残すようなマネは私自身が許せませんね」
「ありがとう、あなたのそういう優しいところ、好きよ」
熱くなる頬を隠すこともせず、素直にそう打ち明ける。
すると彼は困ったように、それでいてとても嬉しそうにはにかんだ。
ナッツの香ばしい香りと、アールグレイティーの芳醇な香りが私たちを包む。
彼の表情はこんなにも私の周りを彩ってくれるのだ。
だから…私はこんなにも彼のことが好きなのだ。
素直になる時、笑顔になる時 海守青空別垢さんリク ギアッチョ→←妖艶な男と、哀れな女 コロラチュラさんリク カーズ
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ウィルゴ・パルテノス - リクでダービー兄弟と一緒に日本の駄菓子を食べてみたをお願いします (2022年8月16日 7時) (
レス) id: b628f3ea92 (このIDを非表示/違反報告)
ヒヨコダイル - 15さん» コメントありがとうございます。浮上もできない半端な者ですがもう少しだけ頑張るつもりです。 (2020年9月18日 16時) (レス) id: eaa08fab16 (このIDを非表示/違反報告)
ヒヨコダイル - みかんじゅうすさん» 更新はするつもりです。ですが、度重なる体調不良と将来の進路に関する活動を含む学生生活が忙しくてなかなか趣味としてPCに向かえない日々が続いております。決して投げ出したわけではございません。誠に申し訳ございません。もうしばしお待ちください。 (2020年9月18日 16時) (レス) id: eaa08fab16 (このIDを非表示/違反報告)
みかんじゅうす - もう更新されないんですか？ (2020年9月16日 23時) (レス) id: 33585c80db (このIDを非表示/違反報告)
15 - 神よ！ (2020年8月15日 22時) (レス) id: 33585c80db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヒヨコダイル | 作成日時：2018年9月17日 21時
