【ジョジョの奇妙な冒険】アク役◇短編集

私だけの　ヴィヴィアンさんリク　サーレー ページ13

「サーレー」

「ん？」

「バン」

「うぉッ」


オモチャの銃から飛び出たゴム弾。

真っ直ぐとサーレーに向かっていく可愛い黄色。

驚きつつも彼はスタンドで空中に固定した。


「…やっぱすごいねぇ、それ」

「お前、何のためにこんなもん撃つんだよ？」


そう言って彼は、トントンと空中のゴム弾を指で叩く。


「お前、そういう変なことにばっか労力使うよなァ。ええ？」

「スタンド、ってのがない私には何度でも見たいものなの」

「ほーう…おら、返すぜ」


そう言うや否や、それまで空中にあった弾が彗星のように動いた。

そして瞬きもしないうちに私の眉間に直撃。

ベチン、と間抜けな音が脳に震えた。


「いっ！？」

「わかっただろ。あんま余計なことさせんな。おお？」

「はーい…」


転がったゴム弾を拾い上げ、指先で押しつぶす。

溜め息が自然と零れた。


「私もスタンド欲しいなぁ…」

「どうして」

「君と同じ世界が見たくて」


自分も自分だけのスタンドが欲しい。

選ばれた誰かが一つだけ持ってる自分だけの力。

物を固定する力、何かを引き寄せる力、変形する力…。

羨ましい。

自分だけの何か、が私にはなかった。

名前、学校、家庭、職場、洋服…。

すべては誰かと共有しているか、誰かが同じ物を持っていた。


「私だけのものが欲しいの」

「わがままな奴だな」

「皆一度は願うことだよ」


自分だけのスタンドを従えて、サーレーの隣に居たら。

きっともっと清々しくて深い世界が見えてくる。


「サーレー」

「ぁん？」


彼に近づいて、背伸びして顔を近づける。


「私だけのサーレーになってよ」

「ふざけんな」


ハン、とニヒルに笑い私の頭をぐしゃぐしゃに撫でた。

力強い手が容赦なく髪をかき乱す。


「ちょ、ぅわ、やめて」

「お前は今のままで十分だ」

「え？」

「スタンド使いは惹かれあう。勿論この世にはたくさんスタンド使いがいる。つまり、だ。お前は他の奴とも惹かれあう……そんなことあってたまるか、ええ？」

「えっと…？」

「お前には俺だけでいいだろ」


そう言って、彼は私の前髪を指先で掻き分け、額にキスを落とした。

もしかして…彼……


「サーレー、私だけの男になってくれるんだ！」

「馬鹿、誰がそう言った！」

「大好きー！」

「鬱陶しい！」


今からもうスタンドはいらない。

私は彼の特別になった。

紛れもなく、それは“私だけ”の地位だった。

ありがとう。私だけ(予定)のサーレー。

結婚しよう　ディ・ス・コ→←愛ほど苦しいものはない　勾玉さんリク　チョコラータ(※激甘)

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