歪んだ十字架４ (ページ28)

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ラウールside

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ラウ「お兄ちゃんたちと水族館に行きました。すっごく楽しくて・・・」

大野「そっか、いいな～。良かったね～。」

　

今日は一週間に１回のカウンセリングの日。

最初は緊張してなかなか話せなかったけど、

大野先生のほわ～っとした雰囲気にだんだん打ち解けられて、徐々に慣れてきた。

　

　

最近あった出来事を聞かれて、

康二くんや蓮くんたちと出かけたり、たこ焼きをしたりしたことを話した。

　

　

大野「記憶はさ、どうかな？」

ラウ「う～ん。あんまりわからなくて。」

戻らない記憶。

もどかしさもあるけど、

　

大野「戻った方がいいって思うかな？」

ラウ「それもよくわからないんです。家族のためには思い出した方がいいかもしれないけど。」

　

　

自分でもよくわからない。

お兄ちゃんたちは過去の記憶は辛いことが多いから、

僕に無理に思い出さなくていいよって言ってくれる。

お父さんのことやお兄ちゃんから償えって言われていたことを思い出すことで、

これから申し訳なく生きていくのかと思うと今のままが良いなとも思う。

でも・・・

お母さんのあの言葉を思い出すと、

やっぱりちゃんと自分がやったことを思い出した方がいいんだよね。

　

ラウ「それと、ちょっとになることがあって。」

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