歪んだ十字架８ (ページ49)

今日:24 hit、昨日:26 hit、合計:228,885 hit

エピローグページ49

・

・

高台から降り注ぐオレンジ色の光。

父さんの時もラウールの時も眩しいくらいの濃い色だった。

夕日にはやっぱり嫌な思い出しかないけれど、

　
でも今日は、

　

亮平「きれいだね・・・夕日。」

康二「ほんまやな・・・。」

涼太「なんかさ、辰哉は微妙だけど、亮平が言うのはしっくりくるんだよな～。」

辰哉「おい。それってどういう意味だよ(笑)」

　

　

翔太「ねぇ、あれって・・・。」

大介「もしかして・・・。」

照「母さん・・・。」

蓮「来てくれたんだ。」

　

遠くにたたずむ１人の女性。

その手に抱えられた、きれいな白の花束。

辰哉「俺が呼んだんだ。せっかくの命日だからさ。」

　

　

母さんも頑固な人だけど、

本当は素直になれないだけ。

少なからず事故がある前は、ラウールに惜しみない愛情を注いでいたから。

父さんの死もラウールの死も

本当は向き合わなきゃいけないって、

ちゃんと分かってるみたい。

　

涼太「これでやっと全員集合だね。」

辰哉「やっとだよ。長かったね。」

　

ラウールを失った悲しみはこれからもずっと続く。

でもその償いとして、

俺らは、

歪んだ十字架を抱えながら、

生きていくよ。

ラウールのことを想って、

これからも。

　

ずっと。

ずっと。

　

ＥＮＤ

・