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「…僕のおごりやからって、一番高いシャンパン頼もうとかもうやめてやぁ」
「分かってますよ。私あんまり飲まないので心配しないでください。そんなに高くなりません」
「じゃあ安心や。でも遠慮することはないんやで」
「はーい、」
ひと段落したところで川西さんがお酒を飲み出す。
私もそれに習って残りのお酒を飲んだ。
「そうや、Aちゃん。結局本屋で働きはじめたんやんね?」
「はい、」
「本屋ってどんな仕事すんの?やっぱり本の整理とかが中心?」
「そうですね…本の整理がやっぱり中心です。思ってた以上に本屋の仕事って意外と重労働なんですよ。結構大変です」
川西さんが興味深そうに身を乗り出して私の方を見る。
「けど、すっごく楽しいです。中本書店はね、私が学生の頃よく行ってた本屋なんです。店主のおじいさんは、とてもおおらかで優しい人だし、そのお孫さんも明るくて元気で楽しい子なんです」
「ふーん…楽しそうやな」
「ほんと楽しいです!これも全部川西さんのおかげです。川西さんに出会ってなかったら、ずっとあの会社にいることになってたと思います」
「僕のおかげなんかやないよ。Aちゃんが今まで頑張った結果なんやから」
そんなことを言う川西さんに対して首を横に振りながら、思い切って言ってみた。
「…なんか…運命、感じます」
面と向かって言うのは恥ずかしかったから、空になったグラスの中の氷をずっと見ていた。
横から息を飲むような感じがする。
「…Aちゃん…」
「…ママ!一番高いシャンパン!」
この空気に耐えられなくて言ってしまった。
「えっ?」
こんなことを急に言い出すとはもちろん想像もしてなかった川西さんが、マヌケな声を出す。
「分かりましたー!」
「ちょっ、取り消し!」
ああ…何やってんだか…
自分を殴りたくなった。
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雅(プロフ) - 修学旅行ハプニングあったみたいですか、楽しめて良かったですね!!私も田舎に住んでるから、東京行ったら確実に迷子になっちゃう(笑)テストもお疲れ様でした! (2019年6月20日 22時) (レス) id: ff8c7fad23 (このIDを非表示/違反報告)
さら(プロフ) - 雅さん» 受験生といってもまだ6月なんで、全然更新していけると思います!また、お話楽しく描いていきますね^_^ (2019年6月20日 22時) (レス) id: abcbda1e9b (このIDを非表示/違反報告)
雅(プロフ) - いつも読ませていただいてます!受験生大変ですよね。無理せず、暇なときに更新してくださいね。 (2019年6月3日 21時) (レス) id: ff8c7fad23 (このIDを非表示/違反報告)
さら(プロフ) - 大丈夫ですかー(笑)でも楽しみながら読んでもらえてるようで、嬉しい限りです^_^ (2019年5月19日 13時) (レス) id: abcbda1e9b (このIDを非表示/違反報告)
あやかちん(プロフ) - やぁぁっちゃった///ふぅぁぁぁ!!((テンションおかしい (2019年5月19日 11時) (レス) id: 34fff6315e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さら | 作成日時:2019年4月16日 21時