ギュッとして！ ２

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「…なんで私の誕生日知ってるんですか？」



川西さんはもちろん、ママにも言ってないはずなのに…



「おめでとう〜！とうとうAちゃんも三十路やあ！」



ついてけれてないよ、私。



「何でAちゃんの誕生日知ってるかだって？こないだ真奈美ちゃんに聞いててん」



真奈美から？



え、いつ聞いてた…？



「はじめてここで飲んだ日な、Aちゃん来月で３０なる言うてたやろ？だからもうそろそろかと思うて、真奈美ちゃんに聞いたらドンピシャ！」



ああっ！あの時かあ！



「もしかして真奈美の耳元で囁いたとき…ですか？」



「うん、そんとき」



やっと謎が解けた。



「どうや？驚いたやろ。さっきのお返しや」



川西さんがドヤ！っていう感じの顔をして胸を張る。



「優しいお返しですね。嬉しいです。毎年社会人になってからはこうやって、面と向かってお祝いしてもらうことはあまり無かったので」



ケーキもご馳走もないけど、３０になったけど、幸せ。



「今日はAちゃんの誕生日やから奢ったるわ！」



「やったあ！じゃあママ！一番高いシャンパン！」



「あかん！それはあかん！」



川西さんが慌ててママにシャンパンの注文を取り消している。



「ふふっ、」



ちょっと前までだったら、こんな事考えられなかったなあ…



なんて思いながら、幸せ過ぎて笑みがこぼれた。

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