過去の想いは (ページ3)

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背中合わせならあいつを見なくて済む。そう思っていたのに、どうしても意識してしまう。

何と言ったって、自分の重心は常に彼寄りなわけだし、彼もまた俺に身を預けているのだ。自分の背中から彼の重みを感じる、それがどんなに幸せで苦しいことか…。

彼の纏う空気を感じるだけで言いようのない心の燻りを覚えることもあった。

せめて、きたやまが安心して背中を預けられるような存在になろう。恋心を自覚してからはそう心に誓った。

きたやまに対する感情をそれ以上大きくするわけにはいかない、第一に彼にこの気持ちが伝わるようなことがあってはいけない、そんな思いから彼とは少し距離を取ろうと決めた。

だけど、きたやまが無理をしすぎないように、きたやまが倒れそうになっても寄りかかれるように、俺が背中を合わせておこう。

そんな決意とは裏腹に、彼はどんどんその背中を逞しくしていき、もう俺からは見えないところに行ってしまった。

俺が彼を追いかければまた違ったのかもしれない。ただ、なんというか、意地っ張りな俺は、それをしなかった。2人の距離が遠くなっていったのはきたやまが俺を置いていったからだ、と彼に責任を擦り付け、俺はそのときいた場所から一歩も動こうとしなかった。

距離ができたと気が付いたときに、俺が、彼を、追いかければ、

今もまだ彼の背中を感じられていたのかもしれない…