棘の女王。 (ページ9)

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過去の淡想ページ9

俺、本当はこの街の人間じゃなくて結構遠いとこから引っ越してきたんだよね。

けど、じいちゃんがここに住んでてさ。
昔1度だけこの街に来たことがあるんだ。

それで母さんの買い物を待ってる時にそこら辺をブラブラしてて…そしたらあの丘の公園あるじゃん？

そこから急に凄い泣き声が聞こえてきたわけ。

俺びっくりしちゃって、泣き止ませようと思って公園に行ったら、公園の真ん中でピンクのランドセルを背負った女の子が号泣してたんだ。

理由を聞いたらずっと「お姫様になりたかったのに！！」って言ってんの。

いくら背中をポンポンしてもなかなか泣き止まないから、俺、そこら辺にあるシロツメクサで花冠を作ってあげたんだよね。

そんで俺、今でもそれほんとに俺が言ったの？ってぐらいキザなこと言ったんだ。

その女の子の頭に花冠載っけてさ、「お前は俺のお姫様だから次会いに来るまで待ってろ。」
ってね。

その瞬間、あれだけ泣き止まなかった子が、直ぐに泣き止んで「ほんと？」って聞いてきたの。

俺それに対して、「うん」って答えるしかなくて……。

そしたらその子、花が開くみたいに笑ったんだ。

・

・

そっからまた地元に帰るまでの時間をその子と過ごしたんだよ。多分もっかいあの笑顔が見たかったんだろうな……それくらいあの笑顔は綺麗だったから。

とうとう明日帰るってなって、その子と会えるのが最後になった時、俺、その子にじいちゃんから教えてもらった押し花付きの写真をその子にあげたんだ。

そして俺は最後にもう1回見ることが出来たんだ。あの花が咲いたみたいな笑顔を_____。

「、、、だから、俺は信じてるんだよね。

押し花の写真を作ってたらいつかその子に会えるって。」

菊池くんはそう言い終えると、こっちを向いてまたふにゃっと笑った。

いつの間にか外はもう薄暗くなっていて健人が帰ってきそうな時間に。

風磨「……もう暗いな。じゃ、俺帰るわ。」

さくら「あ、うん。こちらこそ話してくれてありがとう！！」

風磨「いーえ。じゃねー」

そう言って颯爽と帰っていった菊池くん。

……ほんと大好きだ……