棘の女王。 (ページ21)

今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:28,144 hit

正直者の罪ページ21

そこには、結望が仁王立ちしていた。

パタパタｯ

結望「大丈夫？！」

？「あ、ごめんなさいっ！！」

そう言うと、起き上がって走り去っていった男子生徒。

・

・

結望「ねぇ、さくらちゃん。どういうつもりなの？！なんでこんなことするの？」

キッと睨みをきかせた結望が怒鳴った。

でもそんな結望の声なんて聞いちゃいない。

結望の全身を見ると、前よりも増したブレスレットやネックレスなどのブランド類。

新しいお父さんが買ってくれるんだって。

"新しいお父さん"ね。
こっちがあんたのお母さんのせいでどんな目にあってるのか知りもしないくせに。

思わず笑みが零れた。

・

・

結望「ねぇ、さくらちゃん聞いてるの？」

さくら「何が。」

結望「どうしてこんな人の思いを踏みにじるようなことするの？！彼がどんな思いでさくらちゃんに告白したのか分かっててやってるの？？」

泣きながらそう怒ってくる結望。

ふぅーん。こういう展開ね。あるよね、時々。
遊び人の男子がその女の子に怒鳴られたことによって更正しちゃう～、そして好きになる～的な。

さくら「…………ｸｽｯ。あのさぁ…」

涙でぐしゃぐしゃの結望が顔を上げる。

何、更生するとでも思ったの？
残念。大間違いだよ。

さくら「私さ、あんたみたいなタイプ一番無理なんだよね。告白なんて人の勝手じゃん。なんであんたが入ってくんの？あんた部外者でしょ？」

微笑みながらそう言うと呆然としている結望。

結望「や、だから！！相手の気持ちちゃんと考えたの……ってことだよ？」

さくら「はぁ？」

どんどん自分のペースだと思ってるのか、笑顔になった結望。

結望「だからね、彼、いい人そうだったじゃない？だからしっかり彼の中身も見て、幸せになれるかどうか決めたらどうかな？」

そしてギュッと私の手を握って微笑んだ。

"幸せ"？

へぇ、あんたが語るんだ。
良かったね、幸せで。

さくら「ねぇ、結望ちゃん。」

ん？と微笑む結望。

私の顔も笑顔。

パシンｯｯｯｯｯ

結望「え……」

握られていた手を振り払う。

さくら「ほんとさ、あんたウザイのよ。偽善者。あんたは自分がいい事を言っていい人呼ばわりされたいだけなの。」

微笑んでいた結望の顔がどんどん歪んでいく。

結望「あっ…………」

顔を真っ青にした結望が座り込んだ。

言い終えて教室を出ようとしても未だに泣き続けていた。

あんたは本当の偽善者だね。