9月 ページ6
僕の姉さんはもうすぐ死ぬ
僕の姉さんが僕の母さんになり始めたのは
僕らの本当の母さんが、死んだときからだ。
僕らの本当の母さんが死んだのは、
僕12歳、姉さん２０歳の時だった。
ある日、学校から帰ってきた僕は
台所で倒れている母さんを見つけた。
母さんは病院に連れて行かれ、
姉さんは大学を抜け出して駆けつけてきてくれた。
「母さんは・・・！？」
母さんはもう息を引き取っていた。
母さんは最後に、
「ごめんね・・・・父さんを許してやって、」
僕らの父さんは母さんが死んでも、戻ってこなかった。
姉さんは、母さんを亡くしてショックに立ち直れない僕に
手を差し伸べてくれた。
「大丈夫、今日から私がお母さんになってあげるから。」
姉さんもつらかったはずなのに
僕は父さんが憎い。
姉さんは、母さんが許してと言っていたから許すと言っている。
姉さんはどれだけ優しいんだよ。
それが余計癪だった。
「お墓の掃除してたらもう日が暮れちゃったよ・・！没頭しすぎたね〜」
僕の顔を見て、ニコニコ話す姉さん。
「やぁ、久しぶりだな。」
僕らを捨てて、4年間何処かへ行っていたはずの父さんが目の前に現れた。
「あら、久しぶり。」
姉さんは、昨日もあったかのような態度で接する。
「ん？今は二人で住んでいるのか。」
父さんは僕を一瞥した後、
姉さんを見た。
いやらしい目、それは自分の娘に向ける目ではない。
姉さんは大きくなって女性らしくなっていた。
「そんな目で、姉さんを見るな。」
僕が父さんの前に立ちはだかると、
父さんは何かを察したようににやりと笑った。
「そうか。お前のもんだよな。さすが俺の血が混ざっている息子。」
ぞぞっとした。
僕の血にお前と同じ血が混ざっているんだと考えたくもなかった。
「父さんも一緒にやらせろよ。」
足が震える。気持ち悪い。吐き気がする。
「・・・ざけんなよ。」
突然、姉さんが僕を後ろに引っ張った。
「お前は私たちの父さんじゃない。さっさと、失せろ。他の女のとこでも行ってな。」
そう言うと、姉さんは僕の手を引っ張って走った。
「母さんとの約束、守れなかった。」
姉さんが死ぬまであと7ヶ月
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獣嚶(プロフ) - もう…文才というか…何というか…情景がすぐ頭に浮かんで来るような、素敵な作品でした！あれ…？目から汗が… (2020年6月7日 17時) (
レス) id: 258d7d697d (このIDを非表示/違反報告)
紗奈# - すごく心が動きました。弟とお姉さんの関係がすごくいきいきしていて、素敵です。素晴らしい作品をありがとうございました。別作品も読ませていただきます！ (2020年6月7日 16時) (レス) id: 5b3e3a5457 (このIDを非表示/違反報告)
本の虫(プロフ) - 翡翠琥珀＠サブさん» うわ〜！とても嬉しいです。。伝わってます、嬉しいくらい伝わってます！もう、キスしていいですか？（殴）すみません、ありがとうございます！！！！ (2020年4月27日 10時) (レス) id: 0e28084fa3 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠琥珀＠サブ - うわ〜、読み終わったあとの何とも言えない感じがやばい。めっちゃ感動しました。もう、なんか、あの…感動しました。(語彙力ぜろでごめんなさい笑)切ないよ〜ってなってます。はい。最高でした。 (2020年4月27日 2時) (レス) id: 387b2ce801 (このIDを非表示/違反報告)
本の虫(プロフ) - 蒼炎さん» 一番！？！？（！？！？）やった！！（笑）すみません、ありがとうございます！！ (2020年4月26日 21時) (レス) id: 0e28084fa3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：本の虫 | 作成日時：2020年3月10日 17時
