826話 ページ10
9代目守護者の手から壊れたリングが彫金師タルボの手に渡る。
彼はマントの中からいくつかのビンを取り出すと、それらを物色し始めた。
たくさんの素材の中から、ボンゴレプリーモの血“罰”を探すつもりなんだろう。
「おお……あったあった、これじゃ」
「……それが」
小さな皮袋から取り出された、黒い意匠が施された小瓶。
その中に入っているのは、緋色の液体。
……百年以上もの時間を保存された、初代大空の血液だ。
「……これで、ボンゴレリングを強化することができるわけだね」
『そうなるね。でも……そんな簡単にはいかないと思うなー』
「え、ティナちゃん……? どういうこと?」
『言葉通りの意味だよぉ。……ね、タルボさーん?』
ティナがゆっくりと目を細めるのを見て、タルボはにやりと口角を吊り上げた。
そしておかしそうに、「よくしっとるのお」と言った。
「ただの子供じゃないようじゃの」
「……え? それじゃあ、本当に……」
真っ青になった10代目に、ティナがくすりと微笑む。
……そうだ。遥弥も聞いたことがあるが、
五分と五分だったはずだ。
……失敗すれば、ここでボンゴレリングは死ぬ。だが強化しないと、ユキとクロームを助けることが出来ない。
迫られる二択に、どうすればいいのかと悩む10代目を遥弥は見遣る。
顔は真っ青だ。……当然だろう。仲間や、生まれたときからずっと一緒に居る姉が攫われたのだ。
そして、リングがなければ、さらなる絶望が積み重なることになる。
だが。
ここで選択をしない者が、大切なものを守れることはない。
「……沢田」
「は、はい」
「君が、選べ」
え、と大きく目を見張った10代目の目を、真っ直ぐに見つめる。
そして周囲を見回した。
……同じ、目。ボンゴレ10代目沢田綱吉という人間を、絶対的に信頼している瞳だ。
「オレが……選ぶ?」
「君がボスだ。ユキの姉だ。……君が決めるんだよ。
そしてそれを、君の守護者たちも、それを望んでる」
「……!」
はっと息を吞んだ10代目が、先ほどの遥弥と同じように周囲を見渡した。
そして覚悟を決めたように、彼は口を開く。
「バージョンアップを、お願いします!!」
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作者名:夜野兎×さにー☆彡 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hovel/AKOwww1
作成日時:2018年10月1日 7時