884話 ページ38
「緑の炎……雷の幹部か」
「柔いある」
くん、とトンファーを受け止めていた剣が押し込まれる。
……いや、と遥弥は目を見開いた。押し込まれているのではない、トンファーが僅かに折れ曲がっている!
「くっ!」
このままではまずい、まずは距離をとる。
遥弥は、そう判断した瞬間に敵の剣を腕ごと蹴り飛ばし、その勢いのまま空中で体勢を整え、後方に着地する。そして手にしたトンファーを見下ろした。
「……堅い」
「当たり前あるよ。7つの炎の中でも最も堅い炎が雷であることは、お前にとっても既知のはず」
仕切り直しだ、とそうつぶやいた敵が、剣を振りかぶって跳躍する。軽く舌打ちして、遥弥は振り下ろされた剣をいなして躱すと、目を細めた。
そして次の瞬間、いなされ、地面に激突した剣先が、轟音とともに鍾乳石のリングを抉った。
「何今の……! 剣が電撃を!」
「あの剣、匣兵器じゃねえのか!? 死ぬ気の炎を武器に纏わせるなんて普通じゃねえ……!
それに見てください10代目、リングの表面が!」
「ほ、ほんとだ……っ! 焦げてるよ! でも、どうしてこの時代に匣兵器なんか……!?」
悲痛な10代目の声を背にしながら、遥弥はふう、と息をつきながら視線を敵に戻した。
敵は剣先をリングから抜くと、不敵に笑う。再び、剣全体から緑色の電光が迸った。
「この剣は速く堅く、そして重い。特に電撃の電圧は高く……直撃すれば命はないあるよ」
「ペラペラとよく喋るね、君。あんまり軽々しく口を開かない方がいいんじゃないかい? 頭が悪そうに見える」
「言ってくれる」
ダン! と耳が音を認識するよりも、なお速く。
遥弥の目の前に敵が現れる。
……それは最早意図したものではなく、反射だった。危機を感じた本能が遥弥の身体に動けと命じ、遥弥は上体を後ろにそらす。
ちっ、と軽い音ともに、前髪が焼ける音がした。
「これを避けるあるか。さすがはボンゴレの幹部の1人」
「……成程、君も……武器のスペックだけが高いわけじゃなさそうだね」
遥弥は息をつくと、指にリングを嵌め直す。
そして真っ黒なその瞳と対照的な__白銀の炎を再び、そのリングに点した。
「けど、1つ教えてあげよう。
俺にとって雷の炎の使い手は……とても相性がいい敵なんだ」
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作者名:夜野兎×さにー☆彡 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hovel/AKOwww1
作成日時:2018年10月1日 7時