883話です ページ37
『ユキちゃん、大丈夫?』
加藤さんが立ち去った後、こちらに駆け寄ってくるティナさん。心配そうに見上げてくるティナさんに私は小さく笑みを作り大丈夫だと言った。
『にしても彼奴、さいてーな奴だね!!まさかユキちゃんを脅してくるなんて!!一瞬凍らせようかなって考えちゃった!!』
ティナさんは私と加藤さんのやりとりを静観していたのだ。何かあった時、直ぐに私を守れるように。
流石に私よりも小さな子に自分の身を守ってもらうのは少し、いやかなり罪悪感を覚える。……が見た目に侮るなかれ。彼女は遥弥さんのお師匠様である為、強さはそれなりのものだ。なので決して見た目だけで判断してはいけないのである。
「あの……ティナさん」
ぷくーと可愛らしく�茲を膨らませ怒るティナさんに声をかけると、膨らんでいた�茲が一気に萎んだ。少し面白い。
『ん?何かな、ユキちゃん』
「ティナさんはいつまでここにいられるのですか?」
『え、もしかして私……邪魔だったり、する?』
「い、いえ。そんなことは決してありません!!」
しょぼんと眉を下げ悲しそうな顔をするティナさんに慌てて否定する。彼女が邪魔だなんて思ったこと一度たりともない。
……ただ。不安になったのだ。今は彼女がいるから身の安全は確保できる。でも彼女がいなくなったら……?その間に加藤さんやチャイニーズマフィアがやってきたりしたら私は……
『大丈夫だよ、ユキちゃん!!』
私の不安を察したのか、ティナさんはにっこりと笑った。
『私は君を守る為にここにいるんだから傍から離れるなんてことは決してない。もしそんなことが起こったら遥弥くんに何か言われちゃう』
「そ………ですね」
『それに遥弥くんはお母さんだから……ユキちゃんのこと、とっても心配してるよ』
お母さん。そう言った彼女の瞳は若干笑っていた。もしもこの場に遥弥さんがいたら怒るだろう。俺はお母さんじゃない。いい加減にしなよ、と。
ふ、と彼が言いそうな言葉と怒っている時の遥弥さんが頭に浮かびふふっと笑ってしまった。私につられるようにティナさんもふふっと笑う。
『よかった。ユキちゃん、やっと笑ったね」
「え……っ?」
私、今まで笑っていなかったのだろうか。片手で口角を触る私にティナさんは今までは作ったような笑顔だったからと続ける。
『やっぱユキちゃんには笑顔が似合うよ!!』
そう言った彼女はとても可愛らしい笑みを浮かべていた。
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作者名:夜野兎×さにー☆彡 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hovel/AKOwww1
作成日時:2018年10月1日 7時