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880話 ページ34

誘いに乗るのは簡単だ。ただ、穴に飛び降りればいい。なぜそれがわかるのかというと、目の前で獄寺も10代目も落とし穴に落ちたからだった。

本来ならば、遥弥がわざわざ10代目たちの後を追って戦いを見物する理由はない。シモンと和解することができるのは、遥弥が一番わかっていることだ。

ただ彼にとっての敵がいるなら話は別だ。リルが消えた理由を、彼は知らねばならない。


「……たしかこれは、D・スペードの仕組んだことだったはずだけど。今、彼はどこにいるわけ?」

『D君? 女好きっぽいコに憑依してるよ? 名前なんて言ったかな。加藤君だった気がするけど』

「ユキは? 無事なの」

『部屋にある監視装置をハッキングして様子見てるけど、問題ないんじゃないかなぁ。今はぐっすり寝てるよ』

「……」


もしかしなくても立派な盗撮行為である。遥弥は頭が痛くなった。

……とはいえ、少なくとも今のところは、敵もデイモンもユキに手を出す気はないようだ。ならば遥弥が動いても問題はないだろう。

遥弥はふう、と軽くため息を吐く。


「行くか」







「……ここは」

「えっ、遥弥さん!?」


着地した先で、遥弥はその漆黒の瞳を大きく見開いた。そこが見事なまでの鍾乳洞だったからではなく、自分が10代目達と同じ檻の中ではなく、外にいたからだ。

リングといってもランボと同じ場所ではない。既に10年バズーカを撃ったのか成長している姿になった彼がらうじの前に立つその場所の、背後にあった狭い足場。遥弥がいたのはそこだった。


「雲雀遥弥、か。おい、よかったな。お前の敵がやっと来たみたいで」

「だから来ると言ったではないか、山の守護者」


くつくつとらうじの後ろで笑う、影。

男が一人、らうじの背後にも似たような足場があるのか、リングよりも一段低い場所に立っている。


「待っていたアルよ、雲雀遥弥。雪の3代目。山と雷の次は我々だ」

「ふぅん、面白いね。どうして俺が彼らの後を追ってくると思ったんだい? わざわざ君たちの挑発に乗らない選択だって、俺にはあったと思うんだけど」

「簡単な話アル。ボンゴレは仲間を見捨てない。野ウサギが挑発でもあった場合、来なければどうなるのか、わかっていたのだろう?」

「……フン」


その通りだ。遥弥が行かなければ、彼らはシモンごと10代目たちを殺したかもしれない。シモンも殺させるわけにはいかない彼には、実質的には選択肢は他にはなかった。

彼らも遥弥も、復讐者の試合のルールの外にいるのだから。

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作者名:夜野兎×さにー☆彡 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hovel/AKOwww1  
作成日時:2018年10月1日 7時

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