828話 ページ12
『ふぅぅ〜ん。まっ、いっか、ツナ君だし』
「え、あ、うん……」
氷の笑顔でそう言ったティナが、ちらりと遥弥の方を向いたので、彼は目を逸らす。
今の発言には『ボスだから目こぼししてあげるんだよ』という意志と、『遥弥くんなら絶対問い詰める』という意志が込められている。
相変わらずめんどくさい人だな、と思いつつ遥弥は再びため息を吐いた。
だがティナは実際UMAみたいなもんである。言わないが。
「何より驚かされたのは古里炎真だ。まさかあれほど大人しく、虫も殺せなさそうな奴がシモンファミリーのボスとは……」
「山本はその“まさか”の隙を突かれてやられたことを忘れんな」
リボーンの言葉に、10代目が表情を硬くする。
これから彼らは、友人だと思っていた彼らと命がけの戦いをしなくてはならないことになる。それには当然覚悟が問われるだろう。
状況はよくない。当然だ、遥弥にもリルが消えたという、新たな不穏な要因が生まれた。
向こうで何が起こっているのか。考えなくてはならないことがたくさんある。
『遥弥くん。先に恭香ちゃんに連絡した方がいいんじゃない?』
「そうですね」
不意にティナにそう言われ、遥弥は一度目を見張る。
たしかにそうだ。正直気は進まないが、伝える必要があるだろう。
「……悪いけど、一回席を外すよ。姉さんと綾に起きたことを伝える必要があるからね」
「あ、は、はい……」
「てめー、勝手に城出たりすんじゃねーぞ」
「うるさいよ獄寺。俺に命令しないで」
「んだと」
表情を険しくした獄寺を無視して立ち上がり、遥弥は部屋を出る。
その時、ちょうどタルボが石をトレーにのせて部屋に入っていった。きっとすぐに、ボンゴレリングはVGに進化することだろう。
***
『……わかった。ユキが、そんなことになっちゃったんだ……』
「悪かったね。ユキを守れなかったのは、俺達の力不足だよ」
『うん、もういいよ。兄さんもその場にいたし、負けちゃったのは事実だから』
少しも大丈夫じゃないくせに、という言葉は呑みこんだ。
綾はお調子者に見えるが、頭のキレる少女だ。起きてしまったことは仕方がないと割り切るのは早い。だが、それがユキが絡んだとなれば別のはず。
それなのに、自分の感情を抑えている。
「それじゃ頼んだよ、綾。情報は随時教えるから、恭弥兄さんが帰ってきたら伝えて」
『了解』
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作者名:夜野兎×さにー☆彡 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hovel/AKOwww1
作成日時:2018年10月1日 7時