. ページ9
・
そして出来上がった資料を職員室に届けたあと、すっかり遅くなっちゃったね、なんて言いながら昇降口まで向かう。
『今日はありがとうね。じゃあ、また、』
「あ、送るよ。外も暗いし」
とん、と靴を履きながら当たり前のように言う彼に、固まる私。
そんなの申し訳ない。
理解すると同時にぶんぶんと首を横に振った。
『い、いいです！大丈夫です』
「いや、だめだろ。女の子なんだから｣
『でも、』
「家、どこ？」
『えっ、さ、3丁目の、スーパーの近く...』
「ん、俺もそこらへん」
なんてことだ。たぶん、これはもう何を言っても無駄なんだろう。
さっきも2人で作業していたけど、こうして並んで一緒に帰るとなると話は別。
緊張するし、なによりマークくんのファンともいえる女の子達に何をされるか。考えただけで怖い。
でも、彼が言うように外は暗いし1人で帰るには心細い。
悩む私を待ってくれているマークくんを見て覚悟を決めた。
よろしくお願いしますと小さく頭を下げれば、｢ん、こちらこそ｣と彼は満足そうに小さく笑った。
その日からたびたび、委員会があったり、先生からの頼まれごとで居残りした日には決まってマークくんと帰るようになった。
あの人気者の彼と２人きりの帰り道。学級委員の特権とも言うべきか。
最初はぎこちなくて緊張でいっぱいだった帰り道も、最近はマークくんと他愛ない話をするのが楽しくて、彼の隣にいられるのが嬉しかった。
だから、すっかり気が緩んでたんだと思う。
ある日、私がいつも通り登校すると、途端に静まり返る教室。
みんなの視線の先にある黒板を見て、頭が真っ白になった。
そこには誰が書いたかわからない、黒板にでかでかと書かれた私とマークくんの名前、そしてハートがついた傘の絵。
「一緒に帰るところ見たんだって｣
「いつから付き合ってたんだろ｣
「見間違えじゃないの？｣
ひそひそ聞こえる声に俯けば、後ろからドアが開く音が聞こえた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 947人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ベニ(プロフ) - パピ子さん» わ！ありがとうございます〜！2も出来ましたので、また読んでいただけると嬉しいです🥰 (2022年12月29日 22時) (
レス) id: e864c7390a (このIDを非表示/違反報告)
パピ子(プロフ) - やったぁー٩(●˙▽˙●)۶Part2楽しみにしてます！！ (2022年12月29日 0時) (レス) @page48 id: 504443380d (このIDを非表示/違反報告)
ベニ(プロフ) - jenさん» なんと嬉しいお言葉、ありがとうございます🥹親子シリーズ、ありですね...笑 ほかのメンバーのお話もぜひ書きたいと思いますので、気長にお待ちください〜！ (2022年12月28日 13時) (レス) id: e864c7390a (このIDを非表示/違反報告)
jen(プロフ) - こんばんは…！いつも楽しく読ませていただいています 甘い…甘くてヘナヘナです｡:.ﾟஐ⋆*･:*ジェノくんステキ！ドリムちゃんたちみんな見てみたいです (2022年12月28日 0時) (レス) @page46 id: 8b083b7e19 (このIDを非表示/違反報告)
ベニ(プロフ) - るんるさん» ありがとうございます...！来年のクリスマスのご予約ですね？笑 ご期待に添えるようにがんばります🥰 (2022年12月26日 22時) (レス) id: e864c7390a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ベニ | 作成日時：2022年11月30日 18時
