検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:3,108 hit

捨て犬 1 ページ1

「いけね…鍵かけんの忘れたかも…」


帰り道。
ポツリと呟いたその一言と共にはき出された白い息は、いつの間にか透明になって空気に溶けて消えていく。

霊とか相談所から出てからまだそんなに経っていないハズだ。

戻るか?

…面倒臭いが、これが原因で何か事が起こった方が面倒だ。

「はぁ…」とため息をつき、元来た道を戻り始めた。

…と、その時だ。


「クウン…」
「!」


犬の鳴き声?

キョロキョロと辺りを見渡せば、歩道の脇っちょに薄汚れたダンボールが置いてあるのが目に入る。

近付いて中を覗き込んで見ると、そこにはプルプルと震えて縮こまっている柴犬の姿があった。


「まだ仔犬じゃねぇか…」


毛の汚れ具合からして、結構な時間置かれてるな…

虚ろな目を俺に向け弱々しく「クウン…」と鳴いた仔犬を、「おー、よしよし。もう大丈夫だぞ…」と抱き抱える。

今にも力尽きそうな仔犬を見せられて、とてもじゃないが見捨てるなんて事出来やしない。


「細いな…」


「ハァ、ハァ」と口呼吸をしている仔犬を、取り合えず自分のしていたマフラーにくるませ、早足で霊とか相談所へ向かい始める。

不味いな…心無しか仔犬の体温が冷たく感じる。


「クウン…」
「!、待ってろよ、もうすぐ着くからな…」


視線の先に、見慣れた“霊とか相談所”と書かれた看板が見えてきて、少し気が緩んだ…と、その時。


「!…電気が、付いてる?」


確かに出るとき消したハズの部屋の電気の光が、窓からもれている。

まさか…

ゴクリと唾を呑み込み、ゆっくりとドアノブに手を置く。

「フーッ…」と一回深呼吸をした俺は、そのまま勢い良くドアを開いた。


「誰だッ!?勝手に俺の仕事場に侵入してるヤツは…って、A?お前何やってんだ?」
『霊幻さん!?ビックリさせないで下さいよ!!』


部屋の中に居たのは、不審者でも泥棒でも無く、俺の仕事場のアルバイトである、Aだった。

捨て犬 2→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.8/10 (11 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
9人がお気に入り
設定タグ:モブサイコ100 , 霊幻新隆 , 短編集   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:目から卵 | 作成日時:2019年2月10日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。