百〇一話 目標 ページ10
空は青く澄み、何処からか小鳥のさえずりも聞こえてくる昼下がり。
私は、風で木々がザワザワと揺れる音を耳にしながら、『スーッ』と息を吸い込んだ。
耳に付けている通信機に手をあて、いつでも連絡がとれる体勢をとる。
…よし、準備OK!あとは目標の動き次第だけど……
5m位先でガサガサと音をたてている茂みに注意しながら、ゴクリと唾を呑み込んだ。
「…全員配置についたな。目標との距離は?」
「5m!いつでもいけるってばよ!」
「オレもいいぜ。」
「私も!」
『こっちもOKです!!』
通信機から聞こえてくる声に向かってそう言うと、電子音混じりで「よし!」とカカシさんの声がする。
あとは合図待つのみ…
緊迫した空気が流れ、ツーッと汗が頬を伝う……と、その時。
「やれ!」
「「「『!!』」」」
今だっ!!
茂み向かって地面を蹴ると、左右からも同じくナルト君達が茂み向かって飛び出てきた。
目標は全包囲から突撃され、行き場を失って戸惑っている様子。うしっ!これなら行ける…!
「ニャーーーーーッッ!!」
「つっかまえたぁーーーッッ!!!」
ガッとナルト君に捕まえられた目標…
の迷子ペットであるトラは、毛を逆立てていきなりナルト君の顔面を猫パンチ!
うわぁ…めちゃくちゃコンボ決めてる……
「イテイテ!痛えってばァ!!!」
「アハハ」
「ちょ、サクラちゃん!笑ってないで助けてくれってばよぉ!!」
「右耳にリボン…目標のトラに間違い無いか?」
通信機越しにそう聞いてきたカカシさんに、サスケ君が「ターゲットに間違い無い。」と返した。
…さっきからターゲットだの目標だの格好付けているが、実際の所は迷子のペットを捕獲するだけの、ただのDランク任務を遂行してるだけである。
通信機なんかも使っちゃって、ホント、自分でも何を追ってるのか分からなくなる程の本格っぷりだ。
「…よし、迷子ペット"トラ"捕獲任務、終了!」
『…って言うか、カカシさん何処にいるんですか?今回の任務、ぶっちゃけ指揮してるだけだった様な…』
「あのねぇ…前々から言ってる様に、オレは下忍であるお前達をサポートするだけの役割だから。後ろで見守ってるくらいが丁度良いの。」
『…』
…だからと言って、呑気に木陰でイチャパラ読んでるのはちょっと違うんじゃないかと思うのは私だけだろうか…
なんて、突っ込んでものらりくらりかわされてしまうのが目に見えているので、私は代わりに『ハァ…』と溜め息を付いた。
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キイラギ(プロフ) - スカイさん» 返信遅くなってしまい申し訳ございません。面白いと言って頂き何よりです!更新再開は検討中ですが、気長に待って頂けたら光栄です。もしかしたら近々するかもしれません。 (2021年4月10日 17時) (レス) id: bbcff2f923 (このIDを非表示/違反報告)
スカイ(プロフ) - とても面白くて、一気に読んでしまいました.....!もしまた更新再開して下さったら本当に嬉しいです。作者を陰ながら応援させていただきます。 (2021年3月28日 14時) (レス) id: 5b3c3774ee (このIDを非表示/違反報告)
キイラギ - 瑠威さん» コメントありがとうございます!面白いと言ってもらい嬉しいです!今後もどうか宜しくお願いします! (2020年3月13日 21時) (レス) id: 7df02dd123 (このIDを非表示/違反報告)
瑠威(プロフ) - 凄く面白かったです!続き楽しみにお待ちしてます! (2020年1月12日 0時) (レス) id: 248b7ead12 (このIDを非表示/違反報告)
キイラギ - 鶴さん» 前章でもコメントして下さった方ですよね!応援ありがとうございます!!こんな不束者の小説ですが、今章でも宜しくお願い頂けたら幸いです!! (2019年6月16日 20時) (レス) id: 65879db91d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:キイラギ | 作成日時:2019年6月7日 20時