百〇〇話 奢り ページ9
『ナイスタイミングッ!!誰か分からないけど、ヘルプゥウウ!!』
今出せる限りの精一杯の大声でそう言うと、気付いてくれたのか人影がこっちへ向かって来た。
長かった4時間のカオス人生が、今やっと終わりを告げる…!
ジン…ときた目頭を押さえながら、人影の主にお礼を言おうとした…が、目の前に来た人影の主に、私は口元をヒクッとひきつらせた。
「いやぁ、家帰っても居ないからまさかとは思ったけど…まだここに居たのね、お前達。」
目の前に現れたのは、なんと私達がこんな事になった全ての元凶の、我が師匠だった。
読みながら歩いていたのだろうか。片手に持ってるイチャパラを忍具ポーチにしまい、「待ってろ、今ほどくから…」なんてクナイを取り出してサクサク縄を切り始めた師匠。
その間無言で顔を見合せていた私とナルト君は、コクン、と頷き合った。
「……あーあ、"カカシ先生のせい"でオレ達ってばあと少しで餓死する所だったてばよぉ。」
『いやぁー、ホント、今朝の鈴取り合戦で精神的ダメージも負ってたし、いつポックリ逝っちゃっても可笑しく無い状況だったよねぇー!"カカシさんのせいで"。』
「……」
やけに"カカシさんのせいで"を協調する私達で何かを察したのか、「ハァ…お前等そう来たか……」と溜め息を付くカカシさん。
『しかも、4時間飲まず食わずって!なんかの拷問かよっ!』
「オレってばもう腹ペコだってばよぉ!なぁ、Aネーチャン、帰りにちょいっと一楽でもよらねぇ?」
『私もそうしたい所なんだけどさぁ、今、生憎手持ちがすっからかんなんだよ…。すまぬが少年、今日は諦めてくれ。』
「そんなぁーっ!!…誰か、誰でも良いからオレ達に黄金の一杯を奢ってくれる人は居ないのかぁーっ!!」
「……」
「誰かぁ!!」とチラチラカカシさんに視線をやりながら叫ぶナルト君に便乗して、私も希望に満ち溢れた目で師匠を見る。
しばらく黙っていたカカシさんだが、流石にずっとこの状況のままと言う訳にもいかず、ついに両手を上げて降参のポーズをとった。
「ハァ…但し、一人一杯までだぞ。」
「うっしゃあ!!」
『さっすが我が師匠!男前ッッ!!』
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キイラギ(プロフ) - スカイさん» 返信遅くなってしまい申し訳ございません。面白いと言って頂き何よりです!更新再開は検討中ですが、気長に待って頂けたら光栄です。もしかしたら近々するかもしれません。 (2021年4月10日 17時) (レス) id: bbcff2f923 (このIDを非表示/違反報告)
スカイ(プロフ) - とても面白くて、一気に読んでしまいました.....!もしまた更新再開して下さったら本当に嬉しいです。作者を陰ながら応援させていただきます。 (2021年3月28日 14時) (レス) id: 5b3c3774ee (このIDを非表示/違反報告)
キイラギ - 瑠威さん» コメントありがとうございます!面白いと言ってもらい嬉しいです!今後もどうか宜しくお願いします! (2020年3月13日 21時) (レス) id: 7df02dd123 (このIDを非表示/違反報告)
瑠威(プロフ) - 凄く面白かったです!続き楽しみにお待ちしてます! (2020年1月12日 0時) (レス) id: 248b7ead12 (このIDを非表示/違反報告)
キイラギ - 鶴さん» 前章でもコメントして下さった方ですよね!応援ありがとうございます!!こんな不束者の小説ですが、今章でも宜しくお願い頂けたら幸いです!! (2019年6月16日 20時) (レス) id: 65879db91d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:キイラギ | 作成日時:2019年6月7日 20時