標的202 「上司にしっかりチクって行く」 ページ10
「A〜」
『あ?』
「王子めんどくさいからやりたくなーい」
ヴァリアーに加入してはや十数日。メンバーとも打ち解けることに成功したが……実際こうやって謎の我儘を言われるのは違うと思う。つーか仕事しろや暗殺部隊。
「だってアイツ一人って王子いなくてもよくね?」
『作戦立てて命令した人間に文句言えばいいんじゃないですかねえ』
「うっわー、スクアーロはサボテン待ったなし」
『可哀そうに』
「あ、ルッスが今日の夜飯和食だって言ってたぜ」
『え、マジ?楽しみ』
そうこう言っていればターゲットが現れる。
さて、さっさと済ませよう。得物に触れながら相手の様子を窺っていれば横でベルがクスクスと笑っている。
「俺さ、お前のその目好き」
『目?』
「赤い目。綺麗だぜ。特にターゲット殺る前のヤツ」
『物騒極まりねえな』
「マジだっての。なんで最初隠してたか不思議なくらい。そーいや、なんで隠してたんだ?」
『……隠してたねぇ』
隠してた理由か。
そう言えば、なんで隠したままにしてたかなんて理由はない。
ただ、日本……並盛中では隠さなきゃいけない毎日だったから隠していただけ。
んで、現在ベルが聞きたい理由はあっちで隠してた理由で相違ないだろう。
だがしかし問題として感覚が通じるかは不安なところであって。
『実はヴァリアーのみんなが独占するために隠してたんだわ』
「ぶっは!何その返しサイコーじゃん」
ゲラゲラ笑うベルにこっちも笑みを向けた。
コレがホントの理由じゃないことなんてベルも分かってるだろうけど、それでも聞いてこないってことは空気を読んでくれたって事だろう。
「王子さ、Aの赤い目好きだから」
『おう』
「だから隠す必要はもうねーから。次隠すようなことになったら」
にししとナイフを扇形に開いて言うベル。
金色の髪と銀色のナイフが月明りで美しく輝いている。
「王子が殺っちゃうからね」
『……ありがと』
だからもしかしたら出てくるかもしれない俺の目をバカにする人間。
殺されたくなかったらやめといたほうがいいぞ。
天才王子が楽しそうに笑うのを横目に心の中でそんな忠告をしておいた。
さて、ターゲットを殺すか……勿論、王子はサボりである。これは解せない。
アジトに戻ったらスクアーロに出くわした。
メガネをかけているからパソコンでもいじっていたのだろう。
「おう、お疲れ……ってベルはどうしたんだァ?」
『後処理してる間に帰るって言ってどっか行った』
チクりである。
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りお(プロフ) - こんばんは、いきなりのごめんと失礼致します!とっても面白かったです、作者様のこの作品を見つけて一気読みしてしまいました!こんな素敵な作品ありがとうございます。次の更新も楽しみにしております! (2021年6月30日 23時) (レス) id: 02a06a9e06 (このIDを非表示/違反報告)
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