八百六十八話目 「崖にぶら下がっていたら？」 ページ23
眉根を寄せて何かを考えているらしいレベッカ。
言葉の先を促せば面白いことを言われた。
「あなたたちは……その、どういう関係なの？」
『どういう……って』
「俺はこいつの護衛だ」
『まあ、今はそうですよね』
「でも、貴方は彼女に攻撃してました……よね？」
いや、またしてもぐうの音も出ない案件です。
ルッチさんは「だからどうした」って言ってるし。護衛にあるまじき発言しているけども。
『あー、この人は同僚みたいなもんかな』
「なら……どちらかは死ぬしかないですよ。だって」
一瞬口を噤んだレベッカ。
哀しそうな瞳が俺を見て、そのあとルッチさんに向いた。
「私が負けても……あと一人」
諦めの混じった言葉尻は観客の殺せコールに吸い込まれていった。
そう、この見世物はリングの上に一人だけになるまで終わらない。観客たちは他の人間を殺してでも生き延びた一人、そいつを見る為に金を払って騒ぎ立てている。その過程と、そうしないと命がない人間を見て楽しむために。
ルッチさんを見る。ルッチさんもこちらを静かに見ていた。
暫し無言で目を見ていれば、ゆっくりとした口調で喋り始める俺の護衛。
「…………崖に俺と誰かがぶら下がっていたら」
『え？』
「お前は俺じゃない方を引き上げるんだろう？」
『……でも』
「バカヤロウ、それがお前の正義じゃなかったのか？」
鼻で笑いながらそんなことを言うルッチさん。
この人は状況がわかってるのか分かってないのか……いやあ、分かった上であえてこんなことを言っているのだろう。なんとまあ高尚な趣味をお持ちのようで。
『………そうですよ。ルッチさんを引き上げるわけないじゃないですか』
「ハッ、だろうな」
『片方を引き上げたら俺は………あ』
ああそうか。そうすればいいのか。
ルッチさんに向けてにっこりと笑ってやった。
『その後、ルッチさんにとどめを刺しに行きます』
俺の言葉を聞いてどこか満足げに目を細めたルッチさん。
それを確認してから、しゃがんでレベッカの腕を掴んだ。わざと乱暴にリングに引きずり戻す。放り投げるように扱えば客席から笑い声が上がった。場外に背を向け、地に伏しているレベッカを無言で見下ろす。
「おおっと、まずはレベッカから始末する気だァ！！場外に叩き落すでもなく手づから引導を渡すその姿！！流石はドフラミンゴ様のお眼鏡にかなう人間だけはある！！！」
おおおおおお！！と客席が湧く。
その中でゆっくりと蒼龍を振りかざした。
八百六十九話目 「見せつけるように」→←八百六十七話目 「上がってくればいい話」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 518人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
涙腺崩壊日本人 - 2章まってます！！！！！ (2022年9月9日 21時) (
レス) @page50 id: 66bf482254 (このIDを非表示/違反報告)
涙腺崩壊日本人 - ルッチさんの為なら、いや、更新のためなら天に召されても良い、、、、 (2022年8月18日 0時) (レス) id: 66bf482254 (このIDを非表示/違反報告)
涙腺崩壊日本人 - ルッチさん好き過ぎる作戦隊長さん、ありがとう感謝します私は貴方のおかげでルッチさんに目覚めることが出来ました！ワンピが帰ってくるのを待つぜ！更新お願いします！！超超超超超超超超超大好きです！ (2022年8月18日 0時) (レス) id: 66bf482254 (このIDを非表示/違反報告)
ルッチさぁぁぁん - ホントわかる、、ルッチさん好き (2022年5月11日 23時) (レス) @page44 id: 66bf482254 (このIDを非表示/違反報告)
狐竜(プロフ) - ぴゃ！！！？？（大混乱）やった久々の更新！！！ほんともうこのシリーズのルッチさん大好きなんですよ私……嬉しい…！！！ (2022年3月28日 21時) (レス) @page46 id: 2674e8aa46 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
