八百七話目 「え………？」 ページ10
ルッチさんはカジノのどこからか護衛(という名のいじめ)をするとのことで俺の目につかないところに引っ込んだらしい。俺は客寄せパンダの任を全うすべく、俺にはそなわっていない愛想を無理やりひねり出して振りまいては小袋を配っている。
しかしそこで異変に気付く。
『ん？』
正直気持ち悪いかもしれないが、俺がずっと目で追っていた黒服の女の子がいない。水色のフリフリのミニスカートを着ていた女の子だ。可愛いなとも思ったし、顔と洋服が似合うって素晴らしいことだなあ的な悟りを感じたということもあり、目の端に移るたびに可愛いな、あんな女の子になりたかったな、なんて思ったのでね。はいはい、嫉妬乙とか言わないで。普通に悲しくなるし、可愛いのは事実だから顔がうへへってなっちゃう。あ、やべ俺の隠している変態性が出た。
まあ、変態なのはさておき。件の彼女が見当たらない。どうしたことか。
「ねえちゃぁん……かーわいい格好してるねぇ」
『……っ！あ、ありがとうございます』
「なぁ、ちょーっと仕事抜けて遊ぼうぜ？ここの賃金の六倍は払ってやるからさぁ」
『い、いえ……遠慮します』
「そう硬い事言うなよ……な？」
『ひっ！』
今まで通り軽く流そうとしたが、するりと太ももを触られた。
ゾゾゾゾと悪寒が走り、吐き気が込み上げる。距離を取りたいのに足が接着剤で引っ付いたように動けない。え、なんで？
男はニヤニヤと下卑た笑みを浮かべてなおも触ろうとしてくる。なんで俺、触られただけなのに………なんで。
「おい」
ぐいっと肩を引っ張られた。
そして腹に胸あたりに回された金色の鉤爪。背中に当たった体温。ふわりと香る紫煙の匂い。さっきまでガチガチに固まっていた身体が弛緩して、ついでに涙腺まで弛んだ。やべ、マジで泣きそう。
「枯らされてえか？」
「ひいっ！」
吸血鬼の格好してるからと言って怖さが半減されるわけでもないクロコダイルの凄みで腰を抜かした男。が、クロコダイル自身、流石にカジノの中で流血沙汰を起こすのは本意ではないらしく近くにいた部下に「摘まみだせ。仲間の場所を吐かせた後は任せる」と……任せるっていうか痛い目見させろって素直に言えばいいんじゃないか？と言ったニュアンスで指示を飛ばしている。
しかし、少しも俺から手を放そうとも、俺を体から離そうともしなかった。ただ、小さく震え続ける体を慰めるように左腕で抱き寄せ、右手で頭を撫で続けてくれていた。
駄作者の部屋 第四十六夜「やーらーかーしーーー！」→←八百六話目 「必須所持：危機感」
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夜月レナ(プロフ) - はじめまして(*^-^*)すごく楽しんでに読ませてもらってます（語彙力orz） 更新頑張って下さい(’-’*)♪ (2019年9月6日 21時) (
レス) id: 1844904407 (このIDを非表示/違反報告)
sile - いや最高すぎません？？めちゃくそルッチさん好みにどストライクなんですが。ルッチさんオチだといいなと思ってます(してほしい)ゆっくりで構わないので更新頑張ってください！お体には十分気を使った上でですよ…？w (2019年8月18日 0時) (レス) id: 801c11ec84 (このIDを非表示/違反報告)
リリ - 最高です。これからも応援してます。 (2019年8月13日 1時) (レス) id: 199549db1c (このIDを非表示/違反報告)
レン - ウォォォォォォォォオ！！！！！！！メッチャ面白かった！！！さっっっっっっっいこっう (2019年7月18日 6時) (レス) id: dc4a31061c (このIDを非表示/違反報告)
シスター - 初めまして。シスターと申します。最初の作品から見させて頂きましたが、良い展開になって来ましたね！次が更新されるのが楽しみ過ぎて眠れないですwオチはルッチさんですかね？私の推しなので嬉しいです！ (2019年6月11日 11時) (レス) id: be6a289acb (このIDを非表示/違反報告)
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