八百四十四話目 「閑話休題 祝福後日」 ページ48
頭が痛い。寝起きの意識も覚醒するわこんなん。
脳みその真ん中で永遠に鐘が鳴ってる感じ。除夜の鐘的なサイズのヤツな。ゴーンって。
百八回で終わってくれればいいが、そんなことはなさそうだ。
なんでこうなったのか、理由はなんとなくわかる。
昨日、誕生日だと騒がれ酒を出され、普段なら断る所をヤケクソになり一杯飲み干した。さらにもう一段上のヤケクソでおかわりを頼み、それに口を付けた後からの記憶がない。
しかし想像は着く。あの後続けて二杯、三倍……と飲んだのだろう。
グダグダ話をこね回したが、要するに二日酔いである。目を開ける前に自覚した痛みに呻けば横のあたたかい物体がもぞりと動いた。
「起きたか」
『……頭が痛いです』
「自業自得だ」
普段なら叩かれるであろうタイミングだが頭を撫でられた。ルッチさんも配慮という心を持っていたのかと呟けば叩くぞと返しが来る。当然謝っておいた。除夜の鐘どころの騒ぎではなくなってしまう。
「ほら、水だ」
『あ……りがとうございます』
上体を起こしてサイドテーブルに置いてあった大きめのグラスを、これまた俺も起き上がりながら受け取る。口に含めばぬるい。きっと俺が寝落ちする前に準備しておいてくれでもしたのだろう。なんだそりゃ。
「まだ飲むか？」
『いえ……少しすっきりしました』
「フッ、単純だな」
『うっさいですね……あてて』
「寝ておけ」
とんっ、と肩を押されてベッドに全体重を預けた。抵抗もせずにぽすんと倒れた俺が面白かったのか鼻で笑ったルッチさんに頬を膨らませて見せればまた笑われた。今のはしっかり狙ったから。ウケを狙ったから。
『ルッチさん』
珍しく煙草を吸うらしく、シガーケースを取り出しながら立ち上がろうとする彼のシャツを引っ張って呼び止めた。
もう片方の手の人差し指に炎を灯しながら笑う。
『ここでいいですよ』
「……ん」
白い紙筒を唇に咥えて炎を着けるルッチさん。目を伏せたことにより睫毛の影が頬に落ちて色っぽいっすね。
離れ際に髪の毛をクシャリと撫でられた。ふっと指先の炎を消しながら白い煙を吐く彼を見上げた。
『ルッチさん』
「なんだ」
『俺、7月22日に早起きしなかったの久しぶりです』
「ハッ、一歩大人に近づいたな」
『ちょ、どういう意味ですか』
「次は酒の飲み方を覚えろ」
額をぐりぐりと人差し指で押されながらそう言われてしまえば何も言い返せない。言葉を探して唸る俺を見ながら、ルッチさんはご機嫌そうに煙を吐いた。
八百四十五話目 「手を出すらしい」→←八百四十三話目 「閑話休題 祝福の日」
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夜月レナ(プロフ) - はじめまして(*^-^*)すごく楽しんでに読ませてもらってます（語彙力orz） 更新頑張って下さい(’-’*)♪ (2019年9月6日 21時) (
レス) id: 1844904407 (このIDを非表示/違反報告)
sile - いや最高すぎません？？めちゃくそルッチさん好みにどストライクなんですが。ルッチさんオチだといいなと思ってます(してほしい)ゆっくりで構わないので更新頑張ってください！お体には十分気を使った上でですよ…？w (2019年8月18日 0時) (レス) id: 801c11ec84 (このIDを非表示/違反報告)
リリ - 最高です。これからも応援してます。 (2019年8月13日 1時) (レス) id: 199549db1c (このIDを非表示/違反報告)
レン - ウォォォォォォォォオ！！！！！！！メッチャ面白かった！！！さっっっっっっっいこっう (2019年7月18日 6時) (レス) id: dc4a31061c (このIDを非表示/違反報告)
シスター - 初めまして。シスターと申します。最初の作品から見させて頂きましたが、良い展開になって来ましたね！次が更新されるのが楽しみ過ぎて眠れないですwオチはルッチさんですかね？私の推しなので嬉しいです！ (2019年6月11日 11時) (レス) id: be6a289acb (このIDを非表示/違反報告)
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