八百三十九話目 「もののついでに」 ページ43
夜更け。先ほどまでは月が出ていたが薄い雲で覆われてしまいどこか薄暗い。
窓の外の空をそれとなく眺めていれば、唐突に懐の電伝虫が鳴った。
ベッドに腰かけている体勢のまま受話器を上げて口を開く。
「……俺だ」
【お、忙しいと思うたが存外つながるもんじゃのう】
「暇潰しでかけてきたのなら切るぞ」
【違うわい。心配で連絡したんじゃ】
「……本音は？」
【Aとお喋りしたい！】
隠す気は更々ないらしい。堂々と言い放ったカクにため息を送って「切るぞ」と受話器を置こうとすれば「待った待った待った！！」と慌てた声。
【実際はお伺いじゃ！ちょっと長官から確認を取れって言われたことがあるんじゃが、Aに取り次げるかの？】
「……今はいない」
【なんじゃ、風呂でも行っておるのか】
「………」
【ん〜……そういうわけじゃなさそうじゃのう】
カクがニヤケ面を晒しているであろうことが容易に想像できる。ちらりと電伝虫を確認すればニヤニヤと口角が上がっているから正解だな。嬉しくもなんともない。
隠すのも馬鹿らしくなり、再びため息を前置きしてから口を開いた。
「あのバカは女ヶ島だ」
【あー……そりゃあルッチは着いていけなくて当然じゃ】
わははははと楽しそうに笑う受話器の向こう側の男をぶん殴ってやりたいが生憎そんな能力は持っていない。ついでに言えばいつも八つ当たりする赤い髪も近くにない。とんだ厄日だな。
「で、長官がどうした」
【ああ、そうじゃ。ドレスローザに潜り込んでいる標的がおるらしくてのう。ついでに始末はできるかとのことじゃ】
「……情報は」
【Aから許可が下りるなら今から飛ばすじゃと】
「あのバカが戻るのは明日の朝だが、間に合うか？」
【十分じゃ。ドレスローザに着くまでに飛ばせれば間に合うじゃろ】
「わかった、聞いておこう」
【ん。頼むわい】
ガチャンと受話器を置いた。
ちらりと窓の外に再び視線を移す。
いつの間にか厚い雲が月を覆い隠し、薄暗かった空は真っ黒に塗りつぶされていた。
「というわけだが…………おい」
『んぐ？』
左手でカフェオレの入ったグラスを持ったまま、右手のサンドイッチをモグモグと咀嚼する奴は鋭い二文字を投げかけて漸く俺の方を見た。暫く考えた後、頬を膨らませたままニコッと笑いやがった。これはどう考えても聞いていない。左手のグラスを取り上げて拳を落とす。
『んぐっ！…………なにするんですか』
「食いながらでいいから話は聞け」
八百四十話目 「海賊の手は借りたくないらしい」→←八百三十八話目 「蛇姫様はご立腹」
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夜月レナ(プロフ) - はじめまして(*^-^*)すごく楽しんでに読ませてもらってます（語彙力orz） 更新頑張って下さい(’-’*)♪ (2019年9月6日 21時) (
レス) id: 1844904407 (このIDを非表示/違反報告)
sile - いや最高すぎません？？めちゃくそルッチさん好みにどストライクなんですが。ルッチさんオチだといいなと思ってます(してほしい)ゆっくりで構わないので更新頑張ってください！お体には十分気を使った上でですよ…？w (2019年8月18日 0時) (レス) id: 801c11ec84 (このIDを非表示/違反報告)
リリ - 最高です。これからも応援してます。 (2019年8月13日 1時) (レス) id: 199549db1c (このIDを非表示/違反報告)
レン - ウォォォォォォォォオ！！！！！！！メッチャ面白かった！！！さっっっっっっっいこっう (2019年7月18日 6時) (レス) id: dc4a31061c (このIDを非表示/違反報告)
シスター - 初めまして。シスターと申します。最初の作品から見させて頂きましたが、良い展開になって来ましたね！次が更新されるのが楽しみ過ぎて眠れないですwオチはルッチさんですかね？私の推しなので嬉しいです！ (2019年6月11日 11時) (レス) id: be6a289acb (このIDを非表示/違反報告)
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