八百三十二話目 「駒の設定」 ページ36
言わないと言わないで不機嫌になりそうだし、他三人とは違ってなにか助言をくれるかもしれない。これで強くなるならデメリットはないだろうという事で先ほど言い淀んだことを再び言語化する。
『キングの為にほかの駒を殺しちゃうって考えると……なんていうかその』
「………要するにお前はみんな生き残れるなどというバカな夢物語をよりにもよってチェスでやろうとしているわけだな。バカにもほどがあるだろうこのバカ」
『す、すごいバカ言われた……いや、夢物語は好きじゃないですし、そういうルールだってのは分かるんですけど……やーっぱいざとなると取られたくないって思っちゃうんですよね』
「……………ああ、なるほどな」
『え、なにが分かったんですか』
難しい顔をして俺の話を聞いていたルッチさんだったが、急に何かに気づいたらしくぼそりと呟いた。俺でさえ何が言いたいのか分かんないことを言ってる自覚はあるのに……流石はルッチさん。マジで何がわかったのかは知らんけど。
「おい、チェスのルールはどう把握している」
『え……？キングを守りながら相手のキングを取るゲーム……ですか？』
「そうじゃねえ。プレイヤーのお前はどの立場でやっている」
『俺はそうですね………自分が王様。で、ほかの駒を使いながら自分は死なない様に相手の王様を取る………え、違います？』
「いや、正解だ。大体その視点で考えるのがセオリーで間違いない………だが、お前はそれだったら永遠に勝てないな」
いいか、と言葉を切ってルッチさんは俺の正面に黒の駒を並べる。
最後のポーンを置いた後に、黒いキングをつまみ上げた。
「今からもう一度やるが、俺の言う設定を忘れるな。そして守れ」
『え……あ、はい』
「まず、このキングはお前の設定じゃない。相棒の銀だ」
『は、はぁ』
「ポーンは10万ベリー、ナイトはお前の指、ビショップとルークでお前の四肢一つずつ、クイーンはお前の命」
『え？』
「敵の駒は相棒に加わるリスクだ。キングを取れば根源を潰せる………いいな？」
『理解が追い付かないですけど』
「お前はキングじゃなくて、駒の方だ。キングを守れ、それが任務だ」
『………あ、なるほど！理解しました』
ぷーぷーといまだに机の上で眠る銀を見る。
キングはあいつ。ほかの駒は俺の持ってるもの。要は、意地でも相棒を守ればいいわけだ。なんだかよくわからないし、設定がホラーだけどやらなきゃ後が怖い。結局やるしかねえ。
八百三十三話目 「キングは誰か」→←八百三十一話目 「想像以上の弱さ」
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夜月レナ(プロフ) - はじめまして(*^-^*)すごく楽しんでに読ませてもらってます（語彙力orz） 更新頑張って下さい(’-’*)♪ (2019年9月6日 21時) (
レス) id: 1844904407 (このIDを非表示/違反報告)
sile - いや最高すぎません？？めちゃくそルッチさん好みにどストライクなんですが。ルッチさんオチだといいなと思ってます(してほしい)ゆっくりで構わないので更新頑張ってください！お体には十分気を使った上でですよ…？w (2019年8月18日 0時) (レス) id: 801c11ec84 (このIDを非表示/違反報告)
リリ - 最高です。これからも応援してます。 (2019年8月13日 1時) (レス) id: 199549db1c (このIDを非表示/違反報告)
レン - ウォォォォォォォォオ！！！！！！！メッチャ面白かった！！！さっっっっっっっいこっう (2019年7月18日 6時) (レス) id: dc4a31061c (このIDを非表示/違反報告)
シスター - 初めまして。シスターと申します。最初の作品から見させて頂きましたが、良い展開になって来ましたね！次が更新されるのが楽しみ過ぎて眠れないですwオチはルッチさんですかね？私の推しなので嬉しいです！ (2019年6月11日 11時) (レス) id: be6a289acb (このIDを非表示/違反報告)
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