八百三十話目 「見せかけて―の」 ページ34
考えてみてほしい。
起きた→ルッチさんが見えた→殴られた。
『絶対おかしいでしょ！』
「………」
『理不尽にもほどがありません！？』
足の上で寝ていたのがそんなに気に食わなかったのかとも思った。でもそれなら俺が足の上に滑り落ちた時点で寝てようがなんだろうがお構いなしに殴っているはずだ。俺が寝坊したわけでもない。寝てて悪い時間でもなかった。
しかも飛び起きて驚かせたとかでもない。ゆっくり目を開けてルッチさんが頬を撫でてるなーって思うか思わないかくらいでガンッッだった。
これはキレてもいい案件だろう。あといくつか文句を言ってやろうと口を開きかけた時、船室のドアが叩かれる。
「A大将、進行方向に海賊船です！」
『昼飯時になんだって……あー、俺が行くからほかの船員は別に飯食ってて』
「し、しかし」
『距離あるんだろ？ただでさえ遅れてんだから止まってる時間もったいねえ』
海兵を下がらせた後、手にしていたサンドイッチを一旦置いて立ち上がる。文句言ってばっかでまだ二口ほどしか食べてなかったのが功を奏したな。お腹いっぱいってあんまり動きたくなくなっちゃうから。
白いシャツを着ていたため上から黒いジャケットを羽織る。わざわざ大仰にコートを着ていく必要はないだろう。
「俺が行くが？」
『いいですよ、俺がやります。さっきの立腹案件を八つ当たりしてくるんで』
「………着いて行く」
おや珍しい。普通なら「護衛対象が出張るんじゃねえバカヤロウ」的な事を言われるところだろうに……意外にもゲンコツに関して思うところくらいはあるようだ。
『……攻撃に見せかけてルッチさん殴っちゃうかもですが』
「ハッ、ほざけ」
立ち上がったルッチさんににっこり笑うと悪そうな笑みを返された。
敵の海賊は二十分ほどで片付けたわけだが、途中で俺の上段蹴りがルッチさんの顔を掠った。当然ワザとである。するとものの数秒後にルッチさんの嵐脚が俺を掠った。勿論態とだろう。こうなるとどうなるか。
………こうなる。
「嵐脚ッ」
『紙絵！』
「………ちょこまかちょこまかと」
『重ったい攻撃をバンバンバンバン………うらぁッ』
「鉄塊ッ！……指銃」
『撤退ッ！！………あっぶね〜』
「逃げただけだろうが」
『でもそれっぽかったでしょ？』
あはは、と笑いながら海軍船を指さす。
俺たちは無視して進んでてと言ったので結構先まで行ってしまっているわけで。
そろそろ戻らないと距離的に月歩がつらい。
八百三十一話目 「想像以上の弱さ」→←八百二十九話目 「脚の上」
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夜月レナ(プロフ) - はじめまして(*^-^*)すごく楽しんでに読ませてもらってます（語彙力orz） 更新頑張って下さい(’-’*)♪ (2019年9月6日 21時) (
レス) id: 1844904407 (このIDを非表示/違反報告)
sile - いや最高すぎません？？めちゃくそルッチさん好みにどストライクなんですが。ルッチさんオチだといいなと思ってます(してほしい)ゆっくりで構わないので更新頑張ってください！お体には十分気を使った上でですよ…？w (2019年8月18日 0時) (レス) id: 801c11ec84 (このIDを非表示/違反報告)
リリ - 最高です。これからも応援してます。 (2019年8月13日 1時) (レス) id: 199549db1c (このIDを非表示/違反報告)
レン - ウォォォォォォォォオ！！！！！！！メッチャ面白かった！！！さっっっっっっっいこっう (2019年7月18日 6時) (レス) id: dc4a31061c (このIDを非表示/違反報告)
シスター - 初めまして。シスターと申します。最初の作品から見させて頂きましたが、良い展開になって来ましたね！次が更新されるのが楽しみ過ぎて眠れないですwオチはルッチさんですかね？私の推しなので嬉しいです！ (2019年6月11日 11時) (レス) id: be6a289acb (このIDを非表示/違反報告)
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