八百二十八話目 「理由は分かった」 ページ32
『えぇ……どうでもよくないですか？』
眉を顰めるバカ。さっさと話を切り上げて朝食を取りに行きたいんだろう。俺から視線を外して時計に気を取られている奴に向かって低く唸るように促した。
「言え」
『んな事言われても………なんで逃げなかったのかなんて特に意味はないですよ』
「………」
『な、なんで睨むんですか。そんなに二度寝したかったんですか？』
違うわバカヤロウ。
口に出さずに眉間に皺を寄せればずりッと半歩後ろに下がっている。無意識か、そんなに朝食を取りに走りたいのか。恐らく前者だろう。後者なら俺の事なんか気にせずにさっさと部屋を出ているはずだ。いや、この場合だと俺に薬を飲ませるためになるから、結局俺を気にしていることになるのだろうか。
『二度寝だったら、俺今からご飯取ってくるんで、その間二度寝しててくださいよ。コーヒーも淹れるんで』
「おい、話は終わってないぞ」
『えぇ………マジで意味はないんですって。今日は意地でもルッチさんに薬を飲んでもらわないと困るって理由があったからアレで抜け出しただけで、他意はないですよ』
「…………そうか」
『へ？……今の答えで納得なんですか？』
「あァ」
首を傾げながらも、部屋を出て行ったバカの背中を見送る。船室のドアが閉まりきってから再びベッドに身を沈めた。
ああ、本当にあいつはバカだ。
「理由がない限りは、か」
気づかないまま色々暴露して行ったんだ。
朝食を済ませて大人しく薬を飲んだらベッドに引きずりこむか。
自分がどれだけ恥ずかしい事を言ったか、そこでネタ晴らしだ。恐らく今日も一日船の中でお互いに暇を弄ぶことになる。となるとあのバカの間抜け面を拝むことくらいしかどうせやることはないだろう。
瞼を閉じる、静かにドアが開いて机に何かを置く音がした。続いてコーヒーの準備でも始めたのだろう物音。
こんなにも音と気配がある中だというのに意識がゆっくりと霞んでゆく。決して絆されてはいない。
ただ少し、疲労が残っている。そういう事にしておこう。
頬を撫でられた気がした。
『………ルッチさん爆睡だな』
八時半までに食えば朝食だろう。今は七時五十分だし……もう少し寝せてやりたい。
朝食冷めるかもしれないけど……二度寝して起きないのが悪いって事で。
海賊の襲撃が無ければ当然やることはないし、書類も急ぎの物なんて勿論ない。海兵に鍛錬つけるくらいかな。
『どうせ暇だし』
ゆっくりしましょってね。
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夜月レナ(プロフ) - はじめまして(*^-^*)すごく楽しんでに読ませてもらってます（語彙力orz） 更新頑張って下さい(’-’*)♪ (2019年9月6日 21時) (
レス) id: 1844904407 (このIDを非表示/違反報告)
sile - いや最高すぎません？？めちゃくそルッチさん好みにどストライクなんですが。ルッチさんオチだといいなと思ってます(してほしい)ゆっくりで構わないので更新頑張ってください！お体には十分気を使った上でですよ…？w (2019年8月18日 0時) (レス) id: 801c11ec84 (このIDを非表示/違反報告)
リリ - 最高です。これからも応援してます。 (2019年8月13日 1時) (レス) id: 199549db1c (このIDを非表示/違反報告)
レン - ウォォォォォォォォオ！！！！！！！メッチャ面白かった！！！さっっっっっっっいこっう (2019年7月18日 6時) (レス) id: dc4a31061c (このIDを非表示/違反報告)
シスター - 初めまして。シスターと申します。最初の作品から見させて頂きましたが、良い展開になって来ましたね！次が更新されるのが楽しみ過ぎて眠れないですwオチはルッチさんですかね？私の推しなので嬉しいです！ (2019年6月11日 11時) (レス) id: be6a289acb (このIDを非表示/違反報告)
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