八百九話目 「嫌な事は嫌という」 ページ13
温かいグラスを貰って漸く、自分の手先が驚くほど冷えていることに気づいた。
火傷をしないようにフーフーと冷ましてから一口飲む。酒はあまり得意ではないがあまりお酒感がない。温かいからか？
半分くらい飲んでグラスから口を離せば、クロコダイルに頭を撫でられる。
「全部飲めるか？」
コクリと頷いて、またチマチマと飲む。一旦部屋を出たクロコダイルは俺がグラスを空にする頃、チョコレートを数粒皿に乗せて戻ってきた。
好きなのを喰えと言われ、とりあえず丸い形のものをつまんで口に放り込む。中にベリーのジャムのようなものが入っていて美味しい。ほぅ、と小さく息を吐けば再び頭を撫でられた。
「落ち着いたみてえだな」
『………うん』
「……怖かったか？」
コクリと素直に肯定した。
クロコダイルには嘘は通用しないだろうし、実際問題固まっていた所を助けてもらった時点で言い訳は利かない。というか本当に怖かった。また冷えてきたような気がする手先。温めるようにぎゅっと両手を合わせて膝の上で握りしめた。
するとその手の上にクロコダイルの右掌が重なって、きゅっと握られる。顔を上げれば困ったような顔のクロコダイル。
「………すまなかったな」
『なんでクロコダイルが謝るんだ？』
「変な輩がうろついているのは知っていた。テメェの危機感のなさにお灸をすえるつもりだったが………効きすぎたな」
『危機感？』
「テメェは自分の容姿の良さを把握しやがれ」
『………よくない』
「なら耐性がないのを自覚しろ」
俺の両手の上にあった右手が、俺の頬をするりと撫でた。目を閉じてそれを甘受していれば舌打ちが聞こえてきた。突然の不機嫌なその音に目を開けようとしたが、その時には体が後ろに傾いて、瞼が完全に開くころにはクロコダイル越しの天井。要はベッドに押し倒された。
「そういうところだって言ってるだろうがお嬢ちゃん」
『ど……いう？』
「そのうち食われるぞ」
覆いかぶさってきたクロコダイルが俺の右耳の真横でささやく。びくっと腰を跳ねさせたが上から乗っかられているため起き上がることもできない。おまけというように耳朶を甘嚙みされて変な声が出た。何をされているんだと困惑で固まれば、少し起き上がったクロコダイルがため息をつく。
「………おい」
『……へ？』
「抵抗しろ」
『…………耳、やだ』
「…………はぁぁぁぁ」
再びの底から響くようなため息を漏らしたクロコダイルは俺の頬をまたするりと撫でた。
八百十話目 「調子に乗って丁度いい」→←八百八話目 「腹を蠢くは」
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夜月レナ(プロフ) - はじめまして(*^-^*)すごく楽しんでに読ませてもらってます（語彙力orz） 更新頑張って下さい(’-’*)♪ (2019年9月6日 21時) (
レス) id: 1844904407 (このIDを非表示/違反報告)
sile - いや最高すぎません？？めちゃくそルッチさん好みにどストライクなんですが。ルッチさんオチだといいなと思ってます(してほしい)ゆっくりで構わないので更新頑張ってください！お体には十分気を使った上でですよ…？w (2019年8月18日 0時) (レス) id: 801c11ec84 (このIDを非表示/違反報告)
リリ - 最高です。これからも応援してます。 (2019年8月13日 1時) (レス) id: 199549db1c (このIDを非表示/違反報告)
レン - ウォォォォォォォォオ！！！！！！！メッチャ面白かった！！！さっっっっっっっいこっう (2019年7月18日 6時) (レス) id: dc4a31061c (このIDを非表示/違反報告)
シスター - 初めまして。シスターと申します。最初の作品から見させて頂きましたが、良い展開になって来ましたね！次が更新されるのが楽しみ過ぎて眠れないですwオチはルッチさんですかね？私の推しなので嬉しいです！ (2019年6月11日 11時) (レス) id: be6a289acb (このIDを非表示/違反報告)
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