八百八話目 「腹を蠢くは」 ページ12
俺が着替えた部屋までクロコダイルに手を引かれながら連れてこられた。
彼は「十分待ってろ」とマントを投げて渡す。マントに包まりながら頷いた俺の頭を一度撫でると、颯爽と部屋を出て行った。
入れ替わるようにして入ってきたのはルッチさん。ドアが閉まったと同時に真顔だった顔を不機嫌そうに歪める。
「……言っただろう。危機感を持てと」
『………』
「おい、聞いているのか」
『……ッ！………あ』
ルッチさんの方を向くように顎をグイっと上げられた。
ぞわっと走った悪寒に、反射的にバシンッとルッチさんの手を払ってしまう。
『すみませ……ちょっと、一人に……』
顔を見れない。怖い。
ルッチさんは何も言わずにそのまま出て行った。
不審な男がフロア内をうろついているなとは思っていた。
それも一人ではなく複数人。だからこそ危機感を持てと忠告したがあのバカは全くもって理解していない。自分は女だということがわからないのだろうか。本当にバカだ。
案の定、丸見えの下心を向けられている。だが鈍すぎるあいつだから軽くいなすか気づかないだろうなんて高を括っていれば、硬直しやがった。
なぜかは知らないが近くにいた七武海の男が俺より先に間に入り、事なきを得たが………あいつの事だ、すぐにいつも通りに戻るだろう。
と、思っていたのに蓋を開ければこのざまだ。
『すみませ……ちょっと、一人に……』
泳ぐ目線、小さく震える体、白くなるほどマントを握りしめている手、そして勢いよく払われた俺の右手。
あの七武海の男には触らせていた。触れられることを享受していたはずだ。だが俺は、先ほどの下卑た男と同様で拒否の対象……それもあの勢いは反射だろう。
どろりと腹の中を黒いものが蠢く。このままではコイツを殺しそうだ。なぜ、俺はこんなにも…………。
俺は無言で部屋を出て、後ろ手にドアを閉める。
「………チッ」
盛大な舌打ちは誰にも聞かれることなく重苦しく響いた。
ルッチさんが出て行って、しばらく一人でマントに包まっていた。
どれくらいそうしていたか分からないが、ノックの音が聞こえ「はい」と返事をする。自分の声が少し震えている気がしたが、しばらく喋ってなかったからだろう。
入ってきたのはクロコダイル。手にはグラスを持っている。
「大丈夫か？」
『ああ、平気だ。心配かけて、悪かったな』
「……声震えてるぞ」
『薄着で、寒いんだよ』
「なら丁度いいな。グリューワインだ。取り敢えず温まれ」
八百九話目 「嫌な事は嫌という」→←駄作者の部屋 第四十六夜「やーらーかーしーーー！」
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夜月レナ(プロフ) - はじめまして(*^-^*)すごく楽しんでに読ませてもらってます（語彙力orz） 更新頑張って下さい(’-’*)♪ (2019年9月6日 21時) (
レス) id: 1844904407 (このIDを非表示/違反報告)
sile - いや最高すぎません？？めちゃくそルッチさん好みにどストライクなんですが。ルッチさんオチだといいなと思ってます(してほしい)ゆっくりで構わないので更新頑張ってください！お体には十分気を使った上でですよ…？w (2019年8月18日 0時) (レス) id: 801c11ec84 (このIDを非表示/違反報告)
リリ - 最高です。これからも応援してます。 (2019年8月13日 1時) (レス) id: 199549db1c (このIDを非表示/違反報告)
レン - ウォォォォォォォォオ！！！！！！！メッチャ面白かった！！！さっっっっっっっいこっう (2019年7月18日 6時) (レス) id: dc4a31061c (このIDを非表示/違反報告)
シスター - 初めまして。シスターと申します。最初の作品から見させて頂きましたが、良い展開になって来ましたね！次が更新されるのが楽しみ過ぎて眠れないですwオチはルッチさんですかね？私の推しなので嬉しいです！ (2019年6月11日 11時) (レス) id: be6a289acb (このIDを非表示/違反報告)
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