六百六十一話目 「洋服の大問題」 ページ6
『銀………これ変じゃない？』
「キュイ！」
『大丈夫……ってことでいいのかな？』
ちなみに靴は膝まであるロングブーツ。ヒールは5センチほど。
鏡に映った自分はおおよそ常の自分ではなかったです。ああ、部屋から出れない。
珍しく結んでいない髪の毛をいじりながらドアの前で十面相。
『いや、出るっきゃない。出るぞー！』
お留守番を買って出た銀が背後で鳴いた。今のは行ってらっしゃいの鳴き方だな。
相棒に勇気をもらった俺はやっとのこと廊下へ。自室の鍵を閉めたところで、隣の部屋のドアが開く音。まずいと思った時にはすでにルッチさんが出てきて目が合った。
『おっ、おはようございます』
「………何事だ？」
俺を見てそういった彼の表情はしかめっ面。
でっ、ですよねー。この恰好を見て言わない方がどうかしてるってもんですよねー。似合わないのも重々承知ですが、何事ってなんだよ俺が聞きたいわ。
『今日はオフで、カクと一緒に出かけるので……その、はい』
「着替えてこい」
『やっぱり似合いませんか？』
「………ああ、似合わんな」
銀は似合うって言ってたけど……まあウサギの感性だし、ずれてるのかもしれない。いまめっちゃ銀に失礼だった気がします。ごめんやで。
でもルッチさんに言われちゃったら俺のガラスのハートは粉々なんだ。ああ銀様、着替える許可をどうか私に。
『じゃあ着替えてきます』
「……ああ」
俺が自室のドアノブに手をかけようとしたとき、ルッチさんの背後の方から名を呼ばれた。
そちらに顔を向ければ、階段口からひょっこら顔をのぞかせたカクとばっちり視線が合う。
暫く二人して硬直したが、先に動いたのはカク。ぱあぁぁっと表情を綻ばせて走ってきた。
「A〜〜〜！！」
『えっ、うわっっ！！』
「なんじゃその恰好はぁぁぁ！！可愛すぎじゃぁぁぁぁ！！」
抱きつきというかもはや飛びつきといっても過言ではないものを繰り出してきたカクは、俺を腕の中に収めるととんでもないことを言い出した。
可愛い？アレ、可愛いってなんだっけ？あれれれ？
「すっっっっっごく！似合っとるぞ！！わしがデートと言ったから意識してくれたのか？」
『いやいや、そういうわけでは……そうなるのか？』
「ああもう可愛いのうわしのAは！」
『お前のじゃねえ！』
「あー、スカート姿なんて初めてみたわい。本当に可愛いのう」
もう話を聞く気がないし、抱きしめるのを止める気もないらしい。
まじまじと見られるよりマシか。
六百六十二話目 「素直じゃない二人」→←六百六十話目 「そんな一般論は無い」
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作戦隊長(プロフ) - うみうしさん» 一年越しに気づきました。そして見事に掲載し忘れてますね………どうしましょ(´・ω・｀) (2018年11月11日 14時) (
レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
うみうし(プロフ) - 六百八十四話「え？」 (2018年11月10日 17時) (レス) id: 314bb7876c (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - まとめてコメント返し失礼致しますm(*_ _)mありがとうございます、バイトでひぃひぃ言ってるので厳しいところもありますが、できるだけ返信していきたいと思います。今後ともよろしくお願いします！ (2017年9月11日 20時) (レス) id: 11460b30b2 (このIDを非表示/違反報告)
なな - あ、もちろん作戦隊長さんの作品大好きです！更新頑張ってください！ (2017年8月25日 12時) (レス) id: c3374e0373 (このIDを非表示/違反報告)
なな - 作戦隊長さん、前みたいに顔文字とかを入れたらもっと面白くなるんじゃないかと思ったのですが…どうでしょうか？？( ´・ω・` ) 時間がなかったりしたらすみません (2017年8月25日 12時) (レス) id: c3374e0373 (このIDを非表示/違反報告)
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