戦闘後 暁月 ページ18
焦げくさい臭いに俺は思わず顔をしかめる。あの炎、かろうじて俺は避けられたが北斗は大丈夫だったのだろうか。なんだかボンッという音が聞こえたのだが……。
「……大丈夫か?」
大の字になって寝っ転がって気絶している北斗に視線も向けずに話しかけてみるが返事はない。このまま放って置くわけにもいかず、俺はその辺にあった切り株に座って起き上がるのを待つことにした。
暇なのでとりあえず能力について考察してみようと思う。どうやら思っていたよりも使い勝手は悪いようだ。戦いの最中にもイメージをやめてしまうと幻は解けてしまうようだし、いくら透明になっても実体はそこに残るわけだから普通に攻撃は受けてしまう。それをよくよく表してくれているのが先程のナイフが刺さった左腕だ。未だに軽く出血が続いている。
そろそろ考察にも飽きてきた俺は北斗を置いて帰ろうかとか思ってやっと一瞥した……のだが。
「……は?」
明らかに先程まで女だったはずのヤツは確実に男になっていて、しかも猫耳まで生えている。
そうですかそうですか。何でも有りなこの町では猫耳とか男体化なんて日常茶飯事なんだろうね。分かってますよ。
ただ、どっちにしろこんな状態のヤツを放っておいて帰るほど俺も鬼ではない。俺は北斗をおぶって庭からゆっくり歩いて屋敷に送り届けようとした。
「うわぁっ!」
その途中に背中から低音の驚いたような声が聞こえてきた。十中八九北斗だろう。
「やっと起きたのか。お前、明らかにさっきと姿が変わっているぞ?」
ちょっとだけ気になって訊いてみるが、後ろからは「あー」とか「うー」とか言うなんだかあやふやな返事しか返ってこない。どうしても知りたい訳ではないからいいのだが。
なのでこれはなかったことにする。
「ここで下ろすからお前は屋敷に戻っておけ。俺はもう少し能力を試してみる」
「うーん、分かった!」
そう言って戻っていった北斗を見送って俺は再び庭に戻る。
ふと見たほんの一瞬、森の方に人影があったような気がした。
迷ヰ子見かけた 三日月桜→←初めて外へ出た感想は。 ヴァリシア
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ナナネコウサギ(プロフ) - 更新終わりました。 (2019年7月9日 6時) (レス) id: 9eeb5e90d1 (このIDを非表示/違反報告)
ナナネコウサギ(プロフ) - 更新します! (2019年7月9日 6時) (レス) id: 9eeb5e90d1 (このIDを非表示/違反報告)
グランディ(プロフ) - 更新しました!! (2019年7月8日 21時) (レス) id: 12bfae36c2 (このIDを非表示/違反報告)
グランディ(プロフ) - 更新します! (2019年7月8日 20時) (レス) id: 12bfae36c2 (このIDを非表示/違反報告)
ナナネコウサギ(プロフ) - 更新終わりました。更新しますのメッセージうち忘れました。すみません。 (2019年7月8日 20時) (レス) id: 9eeb5e90d1 (このIDを非表示/違反報告)
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