猫の血族/クッキー 真白 里桜 ページ37
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振り向くと、────ただ黒猫が歩いてるだけだった。
「なーんだ、黒猫ちゃんかぁ。よしよし、おいで〜」
『何言ってるんだ、あんたも同類なのに』
どこからか、声がした。
「だ、誰!?」
『ここだよ、ここ』
だから、誰!?
『だから、あんたの目の前にいる黒猫だって!!』
「ええぇっ!?」
猫がしゃべったああぁぁ!!
「猫ちゃんしゃべれるの!? 何で今まで『ニャー』しか言ってくれなかったのよ!?」
『あのさ…………。あんたと意思疎通できるのは、あんたが「こっち側」の血族だから。ただの人間と会話なんて、できるわけないんだって』
「えと、こっち側の血族って何?」
すると、黒猫は、はぁ…………。とため息をつく。
『あんた、半分は猫の獣族なんだよ。半分は人間だけど』
「…………そ、そうなんだ」
『そうなんだ、じゃなくてさ…………。まあ、いいけど』
呆れたように首を振る黒猫。
『で、あんたは話すだけじゃなくて、猫と人間、両方の姿をとれるの。だから同類だって言ってんのにさ…………』
「そうなんだ…………」
すると、ボフン! と音がする。
何かと思って見ると、目の前には黒髪の人(ただし猫耳つき)が立っていた。
「だからまた、誰なn…………」
ガチャ
後ろで、扉が開く音がした。見ると、有さん本人がいる。
あたしは、とっさに追いかけた。
「ちょ、ちょっと待って! 有ちゃん、占ツクの作品あったって、本当?」
「……うん。でも…………ご飯、先。…………ね?」
あ、言われてみれば、お腹空いてる。こっちに来てから何も食べてないんだ、当然だろう。
「あぁ、うん! あたしも行っていい?」
「…………うん」
黒猫さん(?)のことは、とっくに頭から飛んでいた。
ーーーーー
食堂につくと、
「…………ちょっと待ってて」
と言って冷蔵庫をごそごそとあさりだした有さん。
「なんだよ人の血って…………」
とか不穏な声が聞こえたけど、まあ、なんでもありな街だ、スルーしてあげよう。
ぼーっと待ってると、有ちゃんが持ってきたのは、チョコクッキー。まだ熱々だから、きっと焼きたてを作ってくれたんだろう。
1枚つまんで、かじってみる。
サクッと軽やかな音がして、ほどよい甘味が口に広がった。
なにこれ! めっちゃおいし〜!!
あまりのおいしさに、あたしは、つい何枚も食べてしまった。
そして、食べながらいっぱいおしゃべりして、有ちゃんとも仲良くなれたのだった。
ルールがない世界なら……千登勢→←お片付けしないとね 【名無しのチート】
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グランディ(プロフ) - 続編完成しました〜ありがたや (2019年6月16日 15時) (レス) id: 12bfae36c2 (このIDを非表示/違反報告)
澪 -rei-(プロフ) - 更新しました! (2019年6月16日 15時) (レス) id: 72f8d10893 (このIDを非表示/違反報告)
澪 -rei-(プロフ) - 更新します! (2019年6月16日 13時) (レス) id: 72f8d10893 (このIDを非表示/違反報告)
Na(ナトリウム)(プロフ) - 終わりました! (2019年6月16日 13時) (レス) id: d4cffa305a (このIDを非表示/違反報告)
Na(ナトリウム)(プロフ) - 更新します! (2019年6月16日 12時) (レス) id: d4cffa305a (このIDを非表示/違反報告)
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