作者達が迷い込む町４【小説】 (ページ23)

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得意な事を能力に水霜雫ページ23

「それがお主の能力じゃ」

爺さんは尚も微笑んだ。

今思えばこの爺さん何者なんだろう。

いきなり現れた私に能力とか怪夜町とか言うしさ、

とんでもない変わり者なのは明らかだが。

「誰が変わり者じゃ」

「....いえ」

あ、心読めるんだった。下手に物事考えられない。

爺さんは直ぐに元の顔に戻り、私のパソコンを指差した。...触らないでくださいね。

「そのゲームのキャラや防具をお主は自分の物、仲間として使える」

「武器を具現化...」

「因みに仕舞いたい時はパソコンに入れたら良いぞ。キャラはパソコン操作じゃ」

私は試しにさっき出した剣を入れてみた。

スゥ...と吸収されるようにパソコンに入った剣は瞬きする間に武器庫へと戻っていた。

次は私が1番よく使う銃を選択してみた。

やっぱり私の手には銃が現れた。

「この能力すごいな...」

「他にも火を操る者や多彩な能力を有している者がおる。何をしても自由じゃ！」

他にも私のように招待された人がいるのか。

極力関わりたくはない。自分の身ぐらいは自分で守る事くらい出来る。

爺さんは私の後ろの方を指差した。

【怪夜町】と書かれた看板の後ろには、鮮やかなネオンが光る風景が広がっていた。

改めて、自分は異世界に来てしまったのかも知れない。と実感した気がする。

「まずは屋敷に行ってみると良いじゃろう。ほら、あの大きな建物がそうじゃ」

ネオンの中心。和風なのか洋風なのか、不思議な建物が私の目に飛び込んで来た。

「お主は人一倍孤独を好む、せめてこの世界では“仲間”と言うものの大切さを学ぶんじゃ」

爺さんはそれだけ言うとまるで霧のように消え去ってしまった。最初から最後まで身勝手だな。

「...良し。行こう」

パソコンを閉じ電源を落とした私は

明るく光るネオンへと足を運び始めた。