146話 ページ47
緑谷side
今の空気は最悪だ
月躬弖さんを傷つけたかったわけじゃないけど結果的に傷つけてしまった
友達もやめると言われてしまった
体育祭の時以上に声を荒らげた月躬弖さんの言葉はどれも本当に思っている言葉だった
皆暗い顔でソファに座り込んでいる
切島くんたちは頭を抱え込んでしまって表情を窺うことさえも出来ない
そんな時 月躬弖さんを部屋に送り届けた轟くんは共同スペースに戻ってきた
かっちゃんは戻ってきた轟くんを睨みつけた
「半分野郎 説明しろや…」
轟くんはきっと僕達が知らない月躬弖さんを知っている
だから彼のことは信用しているんだ
｢分かった｣と答えた轟くんはかっちゃんの正面のソファに腰を下ろした
「お前らのことをバカにしているわけじゃねえってことは分かっててくれ
根本的に俺らとお前らとでは住む世界も置かれた状況も違うんだ
お前らは憧れや希望を持ってヒーローを夢見たのかも知れねぇけど俺たちは違う
他の奴らに比べて俺らは時間も余裕も全てにおいて足りてない
正直な話 社会から向けられる目も社会から求めらていることも大きすぎて背負いきれていない
それが俺たちプロヒーローの子供だ
弱さを見せられない 本当の自分をさらけ出すことも出来ない
というよりは許されないんだ
俺がお前らを突き放していたように月躬弖は笑うことで周りと距離を置いていた
本当に苦しかったと思う
だからアイツは自分の努力を否定されて腹が立ってあんなふうになっちまったんだ
どうか許してやってほしい」
月躬弖さんの代わりに頭を下げる轟くん
彼の話を聞いて月躬弖さんや轟くんの置かれている状況が少しだけど理解出来た
プロヒーローの子供
それは僕達ヒーローを目指す人間としてはすごく輝かしい存在だ
幼い頃から近くでヒーローの活躍を目の当たりに出来るなんて羨ましすぎる
だけど彼らも僕達と同じ人間だ
それなのに僕達の何倍も期待と重圧を受けて生きていかなければならない
弱さを見せることが許されない
だから彼らは弱さを見せないために距離を置いていたんだ
焦燥感の中で常に息をしている月躬弖さんはいつも笑顔だった
苦しい思いをしているのにずっと笑っていた
僕には絶対に出来ない
轟くんもそうだけど彼らは全く顔に出さない
だから誰にも気付かれない
いや 気付かせないように必死なんだ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 470人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
三毛猫 - 轟くん相変わらずイケメン(^^)頑張ってください (2020年2月22日 13時) (
レス) id: 717af831f6 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - 大好きな作品です。更新これからも待っています。頑張って下さい！ (2020年2月22日 11時) (レス) id: c612da49fe (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - すごい、面白い。やばい。頑張って下さい。 (2020年2月22日 5時) (レス) id: 199549db1c (このIDを非表示/違反報告)
ばぐ(プロフ) - 廃人さん» 聞いてみました！本当に似ていて驚きました笑 今後の展開と一部被ってたりもして…汗 (2020年2月21日 19時) (レス) id: 6634cf480d (このIDを非表示/違反報告)
ばぐ(プロフ) - 三毛猫さん» 重ね重ねありがとうございます！ (2020年2月21日 19時) (レス) id: 6634cf480d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ばぐ
| 作成日時：2020年2月16日 21時
