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B01と記された隊室

瀬鳴は慣れた手つきでロックを開けて中に入った

そんな彼女を待ち構えていたかのように人影が立ちはだかった

瀬鳴は自身より高いところにある顔を見上げた




「二宮さんまだ帰っていなかったんですね」

「あぁ お前がいなかったからな」

「待っててくれたんですか?」




そう聞くと二宮はフンッと鼻を鳴らした

瀬鳴がこの部隊に入ってからそれなりに時間が経った

鈴鳴支部に配属される予定だった瀬鳴を半ば強引に引き抜いたのは紛れもなく二宮

瀬鳴も初めは驚き緊張したものの慣れてしまえば二宮の性格も怖がる必要はないと分かった

それからというもの二宮に勉強を教わったりランク戦の記録を一緒に見たり打ち解けた様子を見せていた




「さっきまで何してた」

「迅さんのお手伝いです」

「お前迅と仲良かったか?」

「うーん……微妙…?」




二宮の質問に答えながらスクールバッグに教科書を詰める瀬鳴

狙撃用訓練施設で自主練をするまでは隊室で勉強していたため教材が散らかっている

整理整頓された隊室を汚す唯一の存在だ

だが最年少である瀬鳴に甘い二宮隊の隊員たちは何ひとつ文句を言わない

かわいい後輩なのだろう


瀬鳴がスクールバッグを肩にかけて支度を終えたことを確認すると二宮は隊室の電気を消した

やはり瀬鳴が戻ってくるのを待っていたようだ




「夕飯はまだ食べてないだろ 何がいい?」

「え!おにぎり食べたいです!」

「…おにぎり……食堂にするか」

「やったー!先輩たちに自慢しなきゃ!」




嬉しそうにクルクルと回る瀬鳴

丁度いい丈の制服のスカートが揺れた

二宮隊唯一の普通校に通う瀬鳴はセーラー服を着ている

そのせいでかつて仲間だった彼女を思い浮かべてしまうのは仕方のないことだ

だが鳩原と瀬鳴はあまりにも異なる存在


鳩原はここまで愛想がよくないし可愛げもない

瀬鳴のように甘え上手ではない鳩原はほとんど自分の意思を表すことがなかった

そして最も大きな違いがある

鳩原は人が撃てなかった

しかし瀬鳴は躊躇わずに撃つことができる

技術云々は別として撃てる撃てないの違いは狙撃手にとって天と地の差がある




「今日は梅おにぎりの気分です」

「そうか」

「明日は昆布おにぎりです」

「明後日は?」

「焼肉!」




ビシッと人差し指を立ててそう言う瀬鳴に二宮は思わず笑いを零した

「そうだな」と答えると瀬鳴は嬉しそうに笑った

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あんず(プロフ) - 続編おめでとうございます!!ご自分のペースで構わないので、更新を続けて欲しいです!これからも応援してます! (2021年12月17日 19時) (レス) @page50 id: f3f41a7a80 (このIDを非表示/違反報告)
白雪 - 夢主の解説が完全にニノだ…………!これ聞いてるニノもすごく頷いてそう。 (2021年12月14日 1時) (レス) @page42 id: 567a821487 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ - 二宮隊かっこいいですよね!スーツ姿で弧月持ってるの本当に好きです!夢主ちゃんも末っ子感があって可愛いです!! (2021年10月17日 22時) (レス) @page40 id: 25eb3d3bd0 (このIDを非表示/違反報告)
ナカジマ(プロフ) - すごい次の展開が気になりドキドキしています!これからも応援しています!頑張ってください!! (2021年10月15日 12時) (レス) @page36 id: 94b7e990bf (このIDを非表示/違反報告)
男が苦手な辻 - ぎょえええ終わりですか…ストーリーもキャラ設定も二宮隊も大好きなだけに残念です… (2021年5月27日 2時) (レス) id: 43784786f9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ばぐ | 作成日時:2021年1月10日 19時

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