Raptor【WT】

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狙撃手(スナイパー)合同訓練

今回は通常狙撃訓練が実施された

100m先の直径50cm弱の的を撃つ比較的シンプルな内容だが5発撃つ毎に少しづつ的が遠くなる

しかしながら的自体が左右に動いたり揺れたりするわけでないのでしっかり練習すれば確実にスコアを伸ばすことができる


1位は三輪隊の奈良坂

的の中心にしか狙撃穴が空いていない

流石としか言いようがない


奈良坂の弟子である日浦もどこか自慢げだ

だが彼の表情はあまりよくない


近くのブースで狙撃していた当真と絵馬の的を見るとそこにはスマイルマークと星があった

無駄に正確に撃ち抜かれている

元から点を取る気がないのだ

点数では測りきれない｢自由な才能｣とはまさに彼らのことを指すのだろう





｢右上端の的を見ろ
瀬鳴にいたっては狙撃トリガーの中でも安定性が最悪なラプターを使っていながら高スコアを残している｣






奈良坂が指さす先の的を見る

多少のズレはあるが十分正確な狙撃

全体の評価では4位

ましてやラプターでこの狙撃

イーグレットを使ったとなればスコアは更に伸びる






｢爪を隠していた鷹が本性出し始めているようだな｣






奈良坂の言葉に絵馬は顔を顰めた

絵馬からした瀬鳴が褒められるのは面白くない



鳩原未来

彼女は絵馬の師匠であり二宮隊の狙撃手だった彼女はある日姿を消した

つまり瀬鳴は鳩原の後釜というわけだ






｢ユズルくんの先生 鳩原さんってどんな人？｣






雨取がそう尋ねると絵馬は少し視線を逸らしながら答えた

鳩原はもうボーダーにはいない

｢上層部に干されて｣という言葉に雨取は反応してしまった

何故なら以前聞いていた話と噛み合わないからだ


絵馬が言うには鳩原は遠征部隊を目指しており選抜試験にも受かったのだが上層部が後から合格を取り消した

理由はもちろん鳩原が人を撃てなかったから






｢連帯責任で遠征部隊合格取り消しを受けた二宮隊は鳩原先輩を捨てて別の狙撃手を部隊に入れた｣

｢それって……｣

｢瀬鳴先輩のことだよ｣






瀬鳴がボーダーに入隊してから本部に特別扱いされていたのは事実だ

トリオン量が多く精神面でも他の隊員に比べて圧倒的に安定性が高い瀬鳴は使い勝手がいい


そんな瀬鳴は新たに発足する鈴鳴第二の隊長を務める予定だったにも関わらず急遽二宮隊に加入することになった

しかも鳩原がボーダーから姿を消して僅か1週間後

絵馬が勘違いするのも無理はなかった

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