Raptor【WT】

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勉強する手を止めて会話に花が咲く三人

話題は次から次へと移っていく

すっかり勉強のことなど忘れてしまっているようだ

そんなとき隊室の扉が開く音がした




｢瀬鳴 上層部がお前を呼んでる｣

｢ヱ"ッ…なんでですか？｣

｢風刃のことで相談したいようだ｣




｢噂をすれば｣とはまさにこのこと

これには瀬鳴の顔が引き攣っている

一方犬飼は面白そうに再び口角を上げた


風刃のことで相談とは何のことだろうか

疑問な点はいくつかあるが呼ばれているのならば向かわなければならない

とりあえず仮想訓練ブースに呼ばれているらしい

しかも二宮同伴という謎の条件付き




｢それって俺たちも行っていいんですか？｣

｢あぁ 誰が来ても構わないそうだ｣

｢じゃあ行きます 氷見ちゃんは？｣

｢私も行きます｣




それなら辻も誘おうという犬飼の提案により辻にも連絡をまわした

瀬鳴は誰が来ても構わないという言葉に反応した

まさかA級隊員たちも見に来るのでは無いだろうかと緊張しているようだ




｢モタモタするな 早く行くぞ｣

｢い､いきたくない｣

｢決定事項だ 拒否権はない｣

｢二宮さんひどい！｣




ギャン！と騒ぐ瀬鳴を犬飼が強制的に連行した

頬を膨らましながら反抗する瀬鳴を宥める氷見

通路ですれ違う隊員たちは異様とも言えるこの光景に思わず顔を歪めた

そんなことなど気にしない性格の四人は謎の風格さえも感じられる



四人が仮想訓練ブースに入ると中には既に多くの顔ぶれが揃っていた

上層部は勿論 A級隊員やB級隊員も見受けられる

最早想像通りの展開に瀬鳴は肩を震わせた


数々の視線を感じながら辺りを見渡すと転送ブースの前で迅が手招きをしているのが見えた

チラリと二宮をみると｢行け｣と顎で示された

瀬鳴は軽く深呼吸してから迅のもとに向かった

心做しかネクタイをキツく結んだように感じる

トリオン体だというのに冷や汗が頬を伝う




｢いや〜悪いね わざわざ来てもらっちゃって｣

｢…悪いと思ってるなら帰らせてください｣

｢それは無理 さあ本題に移ろうか｣




胡散臭い笑みを浮かべる迅

瀬鳴はもう腹を括るしかなかった

詳しいことは説明されず少し長めのトリガーを迅から受け取った瀬鳴は首を傾げた

これが風刃だということは分かる

しかし何故渡されたのか理解できなかった





｢ちょっと起動してみてよ｣

｢は…？｣




迅の言葉に瀬鳴は腑抜けた声を出してしまった

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