君のため【ワールドトリガー】

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太刀川慶side






存外 出水と妃旗の準備が遅かったので俺と迅は先にファミレスに行き二人を待つことにした

窓側の四人席に案内された

迅が外をぼんやりと見ていたから俺もその視線の先を見ると制服姿の出水と妃旗がいた



横断歩道で信号が青に変わるのを待ってる

二人とも明るい髪色をしているせいか少し目立っている

白いモフモフのマフラーに顔をうずめている妃旗が顔を上げると偶然俺たちと目が合った






「お 気付いたんじゃね？」

「そうっぽいね」






俺だけじゃなく迅がいることを分かったようであからさまに顔を顰めた

その妃旗を見て出水も察したようで苦笑いをしている

迷うことなく踵を返そうとする妃旗の腕を出水が掴んでこっちまで引っ張ってきた

傍から見たら機嫌の悪い彼女に手をやく彼氏のように見えるのだろう






「はははっ 彼奴ら面白いな」

「青春だね〜」






他人事のようにそう言う迅

こうなることも全部視えていたんだろう

そんなことを考えていると不機嫌な妃旗と苦笑した出水がやってきた








・








「何食おうかな〜」

「エビフライじゃないの？」

「う〜ん 今は気分じゃないんだよな」






一緒のメニューを覗き込む出水と妃旗

妃旗は当たり前のように俺の隣に座り出水が迅の隣に座った

イヤイヤ言ってた妃旗もここまで来たら諦めたようで何を食べるか選んでいる





「私デミグラスオムライス」

「俺はハンバーグエビフライセット」

「結局エビフライ食べるんじゃん」

「気分が変わったんだよ」






ギャーギャー騒ぐ二人に変わって迅が店員に注文をした

俺と迅は腹が減りすぎて我慢できなかったので二人が来る前に食べきってしまった



デミグラスオムライスとクリームパスタで悩んだ結果クリームパスタを食べたのだが妃旗が前者を選択したことで少し食べたくなってしまった

料理が届いたら一口貰おうと勝手に考えていると妃旗がジロリと俺を見て｢あげないから｣と先に言われてしまった

残念ながら今回は諦めることにしよう

そう思っていると今度は迅が口を開いた







「妃旗 本当に遠征行くの？」







突拍子もない話題の提示に俺はともかく出水も動揺している

迅が口出しする時は未来で何かが起こっているときだ

すなわち今回の遠征で妃旗に何かしらのアクシデントが起こるということだろう

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