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昼休みの出来事を思い出し、モヤモヤした気持ちをかき消すかのように荒々しく荷物をまとめて帰る準備をする。
正直、双子が居なかったらもっと取り乱していたと思う。
「なんか怒ってる?」
『…別に。
ていうか、なんでいるの?部活は?』
「今日はオフ。
一緒に帰ってもいい?」
『嫌って言ってもどうせついてくるんでしょ。
勝手にしなよ。』
「!うん、勝手にする。」
一緒に帰るの久しぶりだねとにこにこご機嫌な様子の倫太郎。
そんな姿に、あの子とは一緒に帰らないんだと内心どこかほっとしている自分に呆れる。
教室から出ると、どこからか可愛らしい声がした。
「す、角名くん!」
「え?…あ〜、隣のクラスの…」
あの子だ。
頬染めて倫太郎を見つめるその姿は、可愛らしくて、好きなのだと見てるだけでわかる。
いつまでも素直になれない可愛げのない私とは大違いだ。
そんな彼女の意中の相手の角名はというと、澄まし顔で淡々と話
している。
……これは、付き合っていた頃によく見ていた顔。
「今日部活お休みだって聞いて…一緒に帰りたいなって…」
そう言った彼女と目が合う。
ようやく私の存在に気づき、ハッとした表情に変わる。
「ごめんなさい!彼女さんと別れたって聞いて、わたし…」
「はぁ…?だから…」
『大丈夫です。』
「A…?」
『…私たち、別れてるんで。』
「ちょっと待ってよ、それは…」
『ごめんね、邪魔しちゃったみたい…じゃあね。』
にこりと微笑んでそう言って、その場から逃げるように立ち去る。
倫太郎が何か言っていたような気がするけど、今の私はもうさっきのが手一杯なのだ。
大丈夫、ちゃんと笑えてた。
大丈夫、いつかこうなるんじゃないかって分かってたし。
大丈夫、倫太郎が例え他の子と幸せになっても私は…
『全然…っ、大丈夫なんかじゃ…っないっ…』
どんなに言い聞かせても、どんなに覚悟を決めていても
実際目の前にするとやっぱり、ショックで、悲しくて、涙が溢れるのを止められない。
「なぁ。」
しゃがみこむ私の頭上からいきなり声が聞こえ驚いて、ビクリと体が跳ねる。
「そこ、邪魔やねんけど。どけや。」
『す、すみませ…あっ。』
「あぁ?…またお前泣いとんか!!」

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きゃほ - 角名君のお話がすごい好きで見てみたらもう口で表せないくらい良すぎて感激です😭お話作りお疲れ様でした!そして最高な物語をありがとうございました! (4月29日 13時) (レス) @page23 id: 413c33f422 (このIDを非表示/違反報告)
あるか(プロフ) - 最高でした😭 (4月29日 11時) (レス) @page22 id: 589939da3c (このIDを非表示/違反報告)
しーちゃん - いいいいいいやあああ最高 (3月17日 14時) (レス) id: 169c7345d4 (このIDを非表示/違反報告)
うに(プロフ) - かみきさん» かみき様 わ〜😭とっても嬉しいお言葉ありがとうございます…^›⩊‹^完結までお楽しみいただけるよう、精一杯頑張りますのでお付き合いいただけると嬉しいです૮ . ̫ . ა♡ (2月20日 17時) (レス) id: c1b5c1307f (このIDを非表示/違反報告)
かみき - ほ、ほんとに面白いです、、私語彙力がないので上手く伝えられないんですが、ほんとにうに様の小説読むのが毎日の楽しみで、、!!!本当に、大好きです!! (2月20日 8時) (レス) @page14 id: 184b658004 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うに | 作成日時:2025年2月10日 18時