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あのすれ違い事件から数年。
大学進学でお互い遠距離恋愛の時期もあったが、その期間も乗り越え今は社会人になった。
プロ選手になった倫太郎は忙しく、なかなか会う時間を作ることが出来ないのに耐えれないと駄々をこねられ同棲を始めたのだ。
「A?今からどっか行くの?」
『あ〜、うん!会社の飲み会があって、ちょっと遅くなる!』
「遅くなるって…それ、明日大丈夫なの?」
『え?明日…?
…あれ、倫太郎のお休みって明日だっけ…?』
「うん。だから久しぶりだし早めに出て遠出しよって…
…まさか、忘れてたの?」
『ごめん!てっきり来週かと思って……今日飲み会の予定入れちゃった…』
「は…?
無理。飲み会でしょ?そんなの断ってよ。
今日はもう2人でゆっくりしようよ。」
『ん〜…取引先の人もいるし、ドタキャンはちょっと…ほんとごめんね。
遠出は難しいかもだけど、明日は空いてるから!ね?』
そう言ってみたが、明らかに不貞腐れる倫太郎。
この件については、完全に私が悪い。
ごめんね〜と謝り、抱きしめて宥めるが、一向に機嫌は治らない。
時計にちらりと目線をやると、家を出る時刻が迫っていた。
いつまでもこうしている訳にもいかないので、そっと倫太郎から離れる。
すると、するりと抜ける腕をグイッと掴まれた。
「…どこのお店?」
『え?』
「会場どこのお店なの?」
『あぁ、えっと、駅の東口出たとこの近くだけど…』
「ふ〜ん…。飲み過ぎないようにね。」
『う、うん…えーっと…じゃ、行ってくるね…?』
「ん、行ってら。」
意外とすんなりと送り出してくれた彼に、違和感を抱きつつ、私は家を出た。
大学時代は、ゼミの飲み会に俺もついて行くなんて駄々をこねていたのに
…少し寂しい気もするが、私たちだってもう社会人なのだ
「Aさん!Aさんは、二次会行く?
ここで解散っぽいから、うちらは二軒目行くかってなったんだけど!」
『あ〜…私は…』
スマホをちらりと見ると、時刻は22時半を指していた。
二次会なんて参加していると日付を越すのは、ほぼ確定だ。
倫太郎からも、「早く帰ってきてね」と帰宅催促のメッセージが入っていたので、流石に二次会は断ろう。
『ごめんなさい、今日はちょっと…』
「そっか〜…」
「え〜!Aさん帰んの!?
俺、全然喋れてねぇのに〜!」
『ご、ごめんね〜…あはは…』
酔っ払った同期に絡まれていると、後ろから肩を持たれた。

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きゃほ - 角名君のお話がすごい好きで見てみたらもう口で表せないくらい良すぎて感激です😭お話作りお疲れ様でした!そして最高な物語をありがとうございました! (4月29日 13時) (レス) @page23 id: 413c33f422 (このIDを非表示/違反報告)
あるか(プロフ) - 最高でした😭 (4月29日 11時) (レス) @page22 id: 589939da3c (このIDを非表示/違反報告)
しーちゃん - いいいいいいやあああ最高 (3月17日 14時) (レス) id: 169c7345d4 (このIDを非表示/違反報告)
うに(プロフ) - かみきさん» かみき様 わ〜😭とっても嬉しいお言葉ありがとうございます…^›⩊‹^完結までお楽しみいただけるよう、精一杯頑張りますのでお付き合いいただけると嬉しいです૮ . ̫ . ა♡ (2月20日 17時) (レス) id: c1b5c1307f (このIDを非表示/違反報告)
かみき - ほ、ほんとに面白いです、、私語彙力がないので上手く伝えられないんですが、ほんとにうに様の小説読むのが毎日の楽しみで、、!!!本当に、大好きです!! (2月20日 8時) (レス) @page14 id: 184b658004 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うに | 作成日時:2025年2月10日 18時