辞退 ページ12
「よもやよもや……つまりその狐の呼吸は、蛍原少女が生み出した呼吸ということか!」
私は煉獄さんに、私の使う狐の呼吸について説明した。
水の派生であることや、元の型がない我流の呼吸であることも全て。
『はい。そして、継子の件なんですが……』
一通り全てのことを語り終えた後。
私は再び、煉獄さんに向けて深々と頭を下げた。
『私は、煉獄さんの継子にはなれません。申し訳ありませんが、辞退させて頂きます』
「うむ……悪い話ではないと思うのだが。理由を聞いてもいいだろうか?」
『柱の継子を希望する隊士は、鬼殺隊の中にごまんといます。そのほとんどが、私より階級が上の実力ある隊士達です。
私はまだ一番下の癸で、実力も経験も不足しています。
そんな私が、偶然煉獄さんに助けられ、その慈悲で継子になったと知れ渡れば、必死に努力していた隊士達は納得しないでしょう。
私は、彼らの思いを無下にしたくない。
そして一人の隊士として、煉獄さんの慈悲に甘えるような真似もしたくない。
なので今回の継子の件は、辞退させて頂きます』
淡々と、自分の本音を語る。
そしてもう一度継子を辞退する意思を伝えると、煉獄さんとの間に短い沈黙が流れた。
「……君の思いはわかった。俺の考えが浅はかだったな。継子の件は無かったことにしよう! 忘れてくれ!」
煉獄さんの明るい声が聞こえ、ほっと息を漏らす。
胸を撫で下ろしながら顔を上げると、想像以上に近くにあった煉獄さんの顔と視線が交差する。
『わっ……!?』
「その代わりというわけではないが、俺の弟子になるのはどうだろうか!」
で、弟子……?
思わず上半身を仰け反らせながら、瞬きを繰り返していると、煉獄さんは続けて語る。
「先に言っておくが、これは昨夜の件とは全く関係ない! 君が使う独自の呼吸や、先程の信念を聞いた上で、君のことを見込んで誘っている!」
煉獄さんはすっと人差し指と中指を立てた右手を上げる。
「俺が蛍原少女に指導するのは、大まかには二つのみ!
一つは、全集中・常中。全集中の呼吸を四六時中やり続けることにより、基礎体力を飛躍的に上げるものだ!
もう一つは、狐の呼吸の新たな型。我流の型では、一人で生み出すのには限りがあるだろう! 炎の呼吸を元にした新たな型を、君に授けたいと思っている!
弟子ならば継子のような裁量に縛られることもなく、正式な公表をする必要もない! これならどうだろうか?」
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紅いちご - 続編ですか!!楽しみに待ってますね! (2021年11月6日 22時) (レス) @page41 id: 0ffbfabdee (このIDを非表示/違反報告)
むつき。(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも頑張ってください(๑•̀ㅂ•́)و✧ (2021年11月6日 5時) (レス) @page41 id: 6b2570d7e2 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉いろは(プロフ) - むつき。さん» コメントありがとうございます! 本編でもこの二人の関係性はしんどいので、今後どう夢主ちゃんと絡ませていこうか悩んでいます(苦笑)無限列車が近づいてきて精神が削られていますが、更新頑張っていこうと思います! (2021年11月4日 22時) (レス) id: cba06c9064 (このIDを非表示/違反報告)
むつき。(プロフ) - 冨岡さんと錆兎さんのシーンにめちゃめちゃぐっと来ました(語彙力)更新頑張ってください! (2021年11月3日 18時) (レス) @page38 id: da60582d52 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉いろは(プロフ) - 匿名希望さん» ご指摘ありがとうございます! 本当ですね! 全然気がつきませんでした……ありがとうございます! (2021年10月22日 22時) (レス) @page29 id: cba06c9064 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅葉いろは | 作成日時:2021年9月22日 15時