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色変わりの刀 ページ40

無事に最終選別を終えて、十五日後。


「汚れてしまいますから、どうぞ中へっ」

『炭治郎、誰かお客さん?』

外から炭治郎の慌てた声が聞こえ、私は扉から顔を覗かせる。
そして、目の前の異常な光景に硬直する。

『ひょっとこの面に……風鈴?』

個性の塊のような人物を凝視していると、ふいにひょっとこの面と視線が交差した。

「ん? お前は、蛍原Aか?」

『あ、はい』

なんで私の名前知ってるんだろう。
私にひょっとこの知り合いはいないはずだけど……。

「俺は鋼鐵塚というものだ。竈門炭治郎と蛍原Aの刀を打ち、持参した」



鋼鐵塚さんを中に招き入れると、彼は嬉々とした様子で鞘に納められた二本の日輪刀を私と炭治郎へ渡した。

「さぁさぁ、刀を抜いてみな。日輪刀は別名色変わりの刀と言ってなぁ、持ち主によって色が変わるのさ」

そういえば、最終選別のときの強面少年も「色変わりの刀」って言ってたっけ。

彼の言葉を思いだしながら、私は刀の柄を握り、鞘から刀身を引き抜く。

銀色に輝く刀身。
その同色の刃は、みるみるうちに色を変えていく。


『この色って……』


私の日輪刀の刃は、鮮やかな宍色に染まった。

錆兎の、髪の色だ……。

日輪刀の峰に手を添え、そっと胸元に寄せる。


気がつくと、横に座る炭治郎の日輪刀は黒く変色していた。
鋼鐵塚さんは赤く染まった日輪刀が見れると期待していたようで、炭治郎に綺麗な絞め技を決めてみせる。

「いたたたたたっ!! 危ない! 落ち着いてください!」

『ほ、ほ〜ら鋼鐵塚さん! 鋼鐵塚さんが打ってくれた私の刀、宍色に変わりましたよ!』

「俺は鮮やかな赤い刀身が見れると思ってたのに! クソーッ!!」



「オ前重イ! 降リロ! 降リロォ!」

「レディ二失礼デスゥ! イイカラ、黙ッテ飛ビナサイ鴉野郎デスゥ!」

炭治郎から鋼鐵塚さんを引き剥がそうとしていると、外からまた異なる騒がしい声が聞こえてくる。

その声と共に居間に降り立ったのは、炭治郎の鎹鴉と、その背に乗った私の鎹狐。
茜と名づけた狐は私の膝前に駆け寄ると、私への指令を伝える。

「蛍原A、南東ノ照久山(てるひさやま)へ行クデスゥ! 照久山ニ潜ム鬼ハ、毎夜毎夜麓ノ人間ヲ攫ッテイルデスゥ! 現地ニ向カイ、ソノ鬼ヲ討ツデスゥ!!」


南東の照久山……。
鬼殺隊としての、最初の任務だ。

羽織→←禰豆子



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紅葉いろは(プロフ) - 人見さん» コメントありがとうございます(*´∀`*)初めての小説でいろいろ不安だったので、プラス寄りの感想が貰えて嬉しいです!更新頑張ります! (2021年8月14日 20時) (レス) id: cba06c9064 (このIDを非表示/違反報告)
人見(プロフ) - 面白かったです!眠っていた、という設定がすごく斬新で面白いです!ここからどういう展開になるのか楽しみです!更新頑張ってください!応援してます! (2021年8月14日 18時) (レス) id: 0469953c81 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅葉いろは | 作成日時:2021年8月14日 10時

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