新たな呼吸 ページ23
以前比べ、別人のように変わった気迫を肌で感じる。
炭治郎の動きは切れを増し、今では私も本気でぶつからなければ押されてしまいそうな勢いだ。
「水の呼吸、拾ノ型 生生流転」
今の炭治郎の課題は、拾ノ型の完成度を上げ、正確に相手を狙えるようになること。
水の呼吸の中でも最難関を誇るこの技は、一ヶ所に狙いを定めることさえも一苦労だ。
炭治郎の真剣から繰り出される青龍が、低い唸り声を上げる。
迫り来る青龍を切ろうと、木刀を構えたその時。
『水の呼吸、壱ノ型＿＿っ！？』
青龍は私の目の前でうねり、角度を返る。
「な……っ！？」
技を放った本人も予想外なことのようで、炭治郎は目を見開く。
私は素早く青龍の向かう先に視線を向け、慌てて木刀を握ったまま駆け出す。
『真菰！』
青龍は真っ直ぐに真菰のいる方向へと突き進んでいく。
このまま行けば、間違いなく真菰が怪我を負ってしまう。
……ダメだ、この距離じゃ追いつけないっ！
ここから技を放って、あの青龍を横から打ち消すしかない。
同じ生生流転をぶつければ、いけるだろうか？
刻一刻と青龍が真菰との距離を詰めていく中、必死に脳を回転させて適当な技を探る。
水、水じゃダメだ。
水とは違う、もっと正確な意思を持った生き物。
素早く方向転換ができ、小回りの利く動きを可能とする小動物。
それでいて尚、相手に食らいつく鋭い牙を持った肉食獣。
例えるなら、そう。
＿＿�犖儉瓩里茲Δ福�
『っ！』
生生流転と同じ構えから、全く異なる技を繰り出す。
初めての試みだった。
でも、失敗は許されない。
成功させなきゃ。守らなきゃ。
どうか、お願い。
私に、“人を守る”強さを＿＿！
その瞬間。
龍とは違う、甲高い鳴き声が辺りに響く。
二つの技が衝突し、凄まじい爆風が生まれる。
土煙が舞い上がり、山を包んでいた霧までもが吹き飛ばされた。
私は両目を片腕で覆いながら、その先にいる少女の身を案じる。
真菰……！
「＿＿水の呼吸、陸ノ型 ねじれ渦」
丁度爆風の中心部辺りから、土煙を振り払うかのように一つの技が繰り出された。
視界が晴れる。
恐る恐る目を開けると、そこには真菰の前で木刀を構えた錆兎の姿があった。
『真菰！ 錆兎！ よかったぁ……』
私が胸を撫で下ろしていると、真菰は大きな瞳をパチパチと瞬きさせて、錆兎の白い羽織を握る。
「錆兎。今のって……」
「あぁ。……水の呼吸とは異なる、Aに適した“新たな呼吸”だ」
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紅葉いろは(プロフ) - 人見さん» コメントありがとうございます(*´∀｀*)初めての小説でいろいろ不安だったので、プラス寄りの感想が貰えて嬉しいです！更新頑張ります！ (2021年8月14日 20時) (
レス) id: cba06c9064 (このIDを非表示/違反報告)
人見(プロフ) - 面白かったです！眠っていた、という設定がすごく斬新で面白いです！ここからどういう展開になるのか楽しみです！更新頑張ってください！応援してます！ (2021年8月14日 18時) (レス) id: 0469953c81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉いろは | 作成日時：2021年8月14日 10時
