なんで ページ18
炭治郎の動きは悪くない。
鱗滝さん、真菰、錆兎。
三人から教わったことを、きちんと身に付けている。
……でもその程度では、まだあの岩を切ることはできないだろう。
『水の呼吸、肆ノ型』
「……っ！ A！」
私が深く息を吸いながら、木刀を構えたそのとき。
突然炭治郎は真剣を下ろし、無防備な姿でこちらに駆け寄ってきた。
『なっ！？』
戦意のない相手に剣を向けるわけにはいかない。
私は慌てて振りそうになった木刀を止めた。
『っぶな……！ 何考えて＿＿』
炭治郎は私の前まで来ると、私の右腕を自分の方へと引き寄せる。
そして私の腕の赤い線を見つけると、あからさまに顔をしかめた。
「さっき、いきなり血の匂いがして……この傷、どうしたんだ？ 俺の真剣は、Aの腕に届いてなかったよな？」
『傷？ ……あぁ。水の呼吸で自分で作った傷だから、炭治郎は関係ないよ』
私が淡々とそう告げると、炭治郎はさらに眉根を寄せ、私の腕を掴む手に力を入れる。
「自分で作った？」
『威力や範囲を無理に高めれば、当然その代償がある。私にとってその代償が、広範囲に繰り出した技を少しだけ自分も食らうってだけ。それより、早くさっきの続きを＿＿』
「駄目だっ！！」
炭治郎は耳がキーンとするほどの声量で叫んだ。
驚愕のあまり目をぱちくりとさせていると、炭治郎は少し離れた場所で待機していた真菰の方を振り向く。
「真菰、何か手当てできるものはないか？」
「手元にはないけど、取りに行けばあるよ。ここで待ってて」
真菰はそう言うと、こちらに背を向け、木々の奥へと消えていく。
『平気、これくらい何ともないって。大丈夫だから』
「駄目だ！ 痕が残ったらどうするんだ？ 女の子なんだから、もっと身体を大事にしないと……」
『浅い掠り傷だから、痕には残らないよ。これまでもそうだったし』
「これまで！？ 今までずっとこんなことしてきたのか！？」
……話を聞いてもらえない。
なんで？ どうして炭治郎はこんなにも取り乱してるの？
別に炭治郎が怪我をしたわけでもないのに……。
炭治郎に強く腕を握られ、傷口からじわじわと血が溢れ出してくる。
私がその一点を見つめていると、炭治郎もそれに気がついたようで、慌てて私の腕から手を離す。
「うわ！？ すまない、強く握りすぎた！」
『……なんで』
「本当にすまな……、え？」
『なんで、そんなに気にかけてくれるの？』
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紅葉いろは(プロフ) - 人見さん» コメントありがとうございます(*´∀｀*)初めての小説でいろいろ不安だったので、プラス寄りの感想が貰えて嬉しいです！更新頑張ります！ (2021年8月14日 20時) (
レス) id: cba06c9064 (このIDを非表示/違反報告)
人見(プロフ) - 面白かったです！眠っていた、という設定がすごく斬新で面白いです！ここからどういう展開になるのか楽しみです！更新頑張ってください！応援してます！ (2021年8月14日 18時) (レス) id: 0469953c81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉いろは | 作成日時：2021年8月14日 10時
